社会保険について「フリーランスは入れない」と思い込んでいませんか。
制度の仕組みや選択肢を知らずに適切な手続きを怠ると、将来の病気や老後の保障が不十分になったり、保険料の負担が増えたりするなど、大きな経済的リスクを抱える可能性があります。
多くのフリーランス・個人事業主が「知らずに損をしていた」と気づいた今、適切な選択をする人が増えています。
ぜひ参考にしてください。
フリーランスが加入できる社会保険の基礎知識
社会保険はフリーランスにも選択肢があり、適切に選ぶことで将来的な不安を減らせます。
ここでは全体の仕組みと種類を整理し、迷わず判断できる土台を作りましょう。
社会保険の5種類と特徴
日本の社会保険制度は主に5種類に分かれています。
それぞれの特徴を理解することが、適切な保険選びの第一歩です。
- 健康保険(公的医療保険):病気やケガの治療費を一部負担で受けられる制度
- 介護保険:40歳以上の人が要介護状態になったときに介護サービスを利用できる制度
- 年金保険(公的年金):老後の生活費や障害・遺族保障を受けられる仕組み
- 雇用保険:失業したときや育児・介護休業中に給付を受けられる制度
- 労災保険(労働者災害補償保険):業務中や通勤中のケガ・病気を補償する保険
雇用保険と労災保険は主に雇用される労働者が対象ですが、一部例外を除いてフリーランスは加入できません。
それぞれの保険がカバーする範囲や負担額が異なるため、まずは仕組みを整理しましょう。
フリーランスが任意で加入できる保険
フリーランスは、国民健康保険と国民年金に原則として加入義務があります。
ただし、国民健康保険組合や任意継続被保険者制度など、条件次第で選べる選択肢も存在します。
フリーランスの方の場合の保険の選択肢は次のとおりです。
例えば、退職後すぐにフリーランスになった場合、任意継続で会社員時代の健康保険を最長2年間継続できます。
業種や地域によって国民健康保険料が異なる場合があることや将来の年金の年金受給額を増やせる国民年金基金や付加年金の仕組みなど、正確な情報を知ることで有利な条件になります。
ただし安さだけではなく、保証内容や将来の負担などを多角的に理解することが重要です。
加入できない保険と代替策
フリーランスは原則として雇用保険や労災保険に加入できません。
しかし、雇用保険や労災保険の代替手段はあります。
- 雇用保険の失業給付金:所得保障保険(民間の保険)
- 労災保険:特別加入制度を利用することで受給可能(建設業などの中小事業主や一人親方が対象)
「加入できないから仕方ない」と諦めずに、代替策を検討することが重要です。
将来の自分をイメージして、必要な準備を整理してみましょう。
フリーランスが社会保険に加入する条件と手続き
社会保険への加入条件や手続きを正しく理解することで、無駄な不安や負担を避けることができます。
ここでは必要な条件や手順を具体的に解説し、安心して行動に移せる基準を作ります。
加入条件と必要書類
フリーランスは原則として国民健康保険と国民年金に加入義務があります。
国民健康保険と国民年金は開業届を提出し、個人事業主として活動を開始した段階で対象となります。
必要書類は自治体によって若干異なりますが、基本的には次の通りです。
✅国民健康保険・国民年金加入時の必要書類
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 印鑑(自治体によっては不要)
- 退職証明書(任意継続希望の場合)
- 開業届の控え(必要な自治体もあり)
未手続きのまま放置すると、督促や延滞金が発生するため早めの対応が大切です。
手続きのステップと注意点
手続きの流れは比較的シンプルです。
まず住民票のある市区町村の窓口で国民健康保険・国民年金の申請を行います。
その際、退職から14日以内に手続きするのが一般的な目安です。
任意継続を希望する場合は、前職の健康保険組合に直接申請します(退職後20日以内が期限)。
また、必要書類が不足すると再訪問になるため、事前確認が重要です。
書類の準備から確認を始めてみましょう。
加入タイミングと猶予期間
フリーランスの社会保険加入は、原則として退職や開業のタイミングで直ちに加入する必要があります。
特に健康保険・年金は未手続き期間中も保険料が遡って請求されるため注意が必要です。
任意継続は退職後20日以内、国民健康保険は退職後14日以内が目安です。
猶予期間は存在しますが、督促や延滞金リスクを考えると早めの対応が推奨されます。
フリーランスの社会保険料はいくらかかるかの目安
社会保険料は収入や加入する制度によって大きく変わります。
ここでは目安を知り、将来の負担感を減らすための基準を整理します。
保険料シミュレーション方法
社会保険料は前年の所得を基に計算されるため、正確なシミュレーションが重要です。
国民健康保険は市区町村が算定し、所得割・均等割・平等割などの合計で決まります。
年金保険(国民年金)は全国一律で月額17,150円(2025年度時点)です。
参考:日本年金機構「国民年金保険料」
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/hokenryo.html
保険料を試算する際は、自治体などの公式シミュレーターを活用しましょう。
▷例:東京いきいきネット「保険料試算用シート」
https://www.tokyo-ikiiki.net/cgi-cal/shisan07r.cgi
前年所得が変動する場合は多めに見積もることが安心につながります。
収入別の保険料目安
以下は、東京都23区で40歳未満のフリーランスが国民健康保険・国民年金に加入する場合のおおよその年間保険料例です。
年間所得 | 国民健康保険(概算) | 国民年金(固定額) | 合計(概算) |
---|---|---|---|
200万円 | 約150,000円 | 203,760円 | 約353,760円 |
400万円 | 約300,000円 | 203,760円 | 約503,760円 |
600万円 | 約450,000円 | 203,760円 | 約653,760円 |
金額は自治体や扶養人数、年齢により異なります。詳細は必ずお住まいの自治体の公式情報をご確認ください。
保険料を抑える工夫
保険料負担を軽減する方法にはいくつかの選択肢があります。
- 退職直後の任意継続被保険者制度を利用し、保険料を一定に抑える
- 所得控除を活用し、翌年度の保険料基準となる課税所得を減らす
- 国民健康保険組合に加入し、条件次第で負担を下げる
どの制度が一番お得かは個人の状況で大きく変わります。
安さだけでなく保障内容を総合的に比較することが重要です。
社会保険に加入しない場合に生じうるリスクとデメリット
社会保険に加入しないまま放置すると、想像以上に深刻な不利益が発生します。
ここでは主なリスクを整理し、判断基準を明確にしましょう。
老後や病気の保障リスク
社会保険を脱退した後に国民健康保険や国民年金の手続きをしないまま放置すると、保険証が発行されず、病気やケガの際に一時的に医療費を全額自己負担する必要があります。
例えば入院や手術では数十万円以上の立替払いが必要になり、後から自治体に請求して一部返金を受ける流れになる場合があります。
また、年金保険料を納付しない期間が長引くと将来の受給額が減るだけでなく、障害年金や遺族年金を受け取れなくなるリスクもあります。
「いま健康だから大丈夫」と考える人は多いですが、突然の病気や事故は予測できません。 必要な手続きと納付を行うことが、結果的に経済的負担を抑える仕組みだと理解しておく必要があります。
税制・控除面でのデメリット
社会保険料は全額が所得控除の対象です。
未納や未加入の状態では社会保険料控除が使えず、翌年の所得税や住民税が増える場合があります。
所得控除が反映されないだけで、年間数万円以上の税負担差が生じるケースもあります。
また、確定申告の際に未加入であることが判明し、遡って保険料を請求されるリスクもあるため注意が必要です。
年収400万円のフリーランスが保険料を未納にした結果、翌年の税額が5万円以上増えた相談事例があります。短期的な節約が中長期で不利益を生むこともあります。
家族への影響
社会保険は本人だけでなく家族の生活も支える役割を持っています。
社会保険を抜けた後に国民健康保険を加入していない場合には、家族が医療費の負担増のリスクも考えなくてはなりません。
例えば扶養家族がいる場合、健康保険に加入していないと家族全員が無保険扱いになり、医療費負担が大幅に増えます。
また、万一の場合に遺族基礎年金を受けられない可能性もあります。
「家族の安心」を守る意味でも、制度を正しく活用することが大切です。
フリーランスにおすすめの社会保険と選び方
社会保険には複数の制度があり、どれを選ぶかで負担額や保障内容が変わります。
ここでは代表的な選択肢を比較し、自分に合った方法を検討するための視点を整理します。
国民健康保険と国民健康保険組合の比較
国民健康保険と国民健康保険組合は、保険料の計算方法や適用範囲が異なります。
国民健康保険は市区町村が運営し、前年所得に応じて保険料が決まる仕組みです。
一方、国民健康保険組合は業種や地域の組合が運営し、所得にかかわらず定額保険料のケースもあります。
例えば、文芸・美術・建築など特定の業種に従事している場合、組合に加入することで負担を抑えられることがあります。
収入が高い方は組合の定額制で負担を軽減できる可能性があるため、加入条件を確認して比較検討する価値があります。
年金・iDeCoなどの組み合わせ活用
国民年金は全員加入が義務づけられていますが、それだけでは老後の保障が十分とはいえません。
将来の年金額を増やす方法として、次の選択肢があります。
✅将来の年金額を増やす方法
- 国民年金基金:任意加入で上乗せ年金を準備できる制度
- 付加年金:月額400円の保険料で年金額を増やせる制度
- iDeCo:掛金が全額所得控除になり、運用益も非課税で積立ができる
特にiDeCoは節税効果が高く、老後資金を計画的に作りたい方に適しています。
ただし、掛金の上限や資金拘束の期間があるため、無理のない範囲で活用しましょう。
社会保険サービスや代理店の利用
近年はフリーランス向けの社会保険サポートサービスも増えています。
オンラインで保険料のシミュレーションや手続き代行を行うサービスを活用すると、時間の節約につながります。
例えば【スキマレポート】は、入会金が必要ではありますが、週2回の簡単なレポートを送付するだけで、フリーランスの方が社会保険に加入できる制度を提供しています。
条件などが設定されているため、詳しく知りたい方は、ぜひチェックしてください。
FP(ファイナンシャルプランナー)への相談を検討する
社会保険だけでなく、税金やライフプラン全体を見通して判断したい場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談するのも有効です。
FPは保険だけでなく家計管理、資産運用、老後資金など幅広い視点からアドバイスを受けられます。
特に次のような方は専門家の視点を取り入れることで、無駄のない選択がしやすくなります。
✅将来に備えるための専門家の視点
- 毎月のキャッシュフローを見直しながら社会保険料を検討したい
- 老後資金や住宅購入などライフイベントと絡めて計画を立てたい
- 税金や控除を含めた最適な組み合わせを知りたい
「どこに相談すればよいか分からない」という場合は、FP協会や自治体の無料相談窓口を活用するのも一つの手です。
当サイトおすすめの相談先はassettree(アセットツリー)のマネードットコムです。
✅アセットツリーのマネードットコムのおすすめポイント
- 無料相談をしても契約の義務はなく、希望しない保険を無理にすすめられる心配がほとんどない
- 3名のファイナンシャルプランナーを比較できる仕組みで、相性の合う担当者を選べる
- 自宅からオンラインで相談できるため、時間も気持ちも余裕を持って判断できる
私も、実際にお金のことで相談しました。
☄保険料の削減に成功したWebライターの方の例
年収500万円のWebライターの方が国民健康保険組合に加入したことで、年間保険料を約8万円削減できた事例があります。
彼は独立して2年目、毎月の保険料が高いことにずっとモヤモヤを感じていました。
「このままずっと払い続けるのかな」と思いながらも、他に選択肢があることを知らずにいました。
あるとき同業の知人から「国民健康保険組合に入ると安くなるかも」と聞き、半信半疑で調べてみたそうです。
加入条件や必要書類を確認し、実際に切り替えをした結果、年間の保険料が約8万円も下がりました。 「もっと早く知っていれば、1年で旅行に行けるくらいは節約できたのに」と少し悔しい気持ちにもなったそうです。
選び方一つで負担が大きく変わることを実感し、今は同じ悩みを持つフリーランス仲間に必ず制度を教えていると言います。
社会保険のQ&Aとよくある誤解
社会保険については誤解や疑問が多く、正しい情報を知らないまま判断してしまう人も少なくありません。
ここではよくある質問と誤解を整理し、安心して選べる知識を持つためのヒントをまとめます。
副業と正社員の兼業の場合
正社員として勤務しながら副業をしている場合、基本的には勤務先の社会保険に加入したまま副業収入も確定申告で申告します。
副業収入だけでは国民健康保険に加入する必要はなく、会社の健康保険と厚生年金が適用されます。
ただし、独立して主たる収入が副業側に移行する場合は、退職に伴い国民健康保険と国民年金への切替が必要です。
副業を始めたら自動的に保険が切り替わると誤解しやすいので注意しましょう。
社会保険義務化の真偽
「フリーランスも社会保険に加入が義務化される」といった噂を耳にすることがありますが、2025年時点で一律義務化はされていません。
義務化というよりも、個人事業主でも加入できる任意制度が増えた結果、選択肢が広がっている状況です。
特定の団体や一部のケースで加入条件が変わることはありますが、すべてのフリーランスが被用者保険に入らなければならないという制度は現行では存在しません。
最新情報は厚生労働省や公的機関の公式発表で確認しましょう。
「怪しい保険」の見分け方
フリーランス向けの保険を名乗るサービスの中には、実態が不透明な商品や、過度な勧誘を行う業者も存在します。
以下のポイントをチェックすることで、信頼性を見極める参考になります。
- 運営主体や加入団体の実績・公式認可が明示されているか
- 保険料の計算方法や保障内容が具体的に説明されているか
- 「今日中に契約しないと損」など急かす表現が繰り返されていないか
気になるサービスがあれば、複数の情報源を比較し、契約前に第三者へ相談することをおすすめします。
まとめ:社会保険の選択で将来の安心を整える
フリーランスの社会保険は「よく分からないから後回し」とされがちですが、正しい情報を知って行動することで大きな差が生まれます。
ここまで解説してきたように、保険の種類や加入条件は多様で、収入や働き方に合わせて選ぶことが大切です。
特に次のポイントを意識して、将来の不安を減らす第一歩を踏み出しましょう。
✅フリーランスの健康保険のポイント
- 国民健康保険と国民健康保険組合を比較し、負担を抑えられる方法を検討する
- 年金やiDeCoを活用し、老後の資金計画を整える
- FPなど専門家に相談し、自分に合った制度や保障を客観的に判断する
無理にすべてを完璧に決める必要はありません。
「一度だけ話を聞いてみる」「必要な書類を確認してみる」など、小さな行動から始めることが未来の安心につながります。
社会保険や資産形成についてもっと詳しく知りたい方は、無料で利用できるオンラインFP相談サービスもあります。
自宅から相談できるので、気軽にプロの意見を聞いてみるのもおすすめです。
更新履歴
2025-07-04 更新