領収書はとりあえず箱に放り込み、確定申告の直前になって青ざめる。フリーランスになりたての頃の私が、まさにそうでした。では、税務調査が来ても慌てずにすむ帳簿と領収書とは、どんな状態のものでしょうか。答えは意外とシンプルで、高価なソフトでも完璧な簿記の知識でもありません。
フリーランス在宅ワーク歴9年、青色申告を続けてきた私は、会計ソフトとExcelの両方を使った末に、今はあえてExcelだけで帳簿をつけています。この記事では、その使い分けの理由を軸に、調査に強い記録の整え方をお話しします。
この記事のポイント
税務調査に強い帳簿とは、聞かれたときに中身を自分で説明できる記録のことで、そのために会計ソフトが必須というわけではありません。
- 整え方の基本は、領収書を月ごとに保管し、売上と経費を見返せる形で記録するだけ
- 取引が少なく安定しているなら、青色申告でもExcelで十分に回せる
- 取引先や経費の種類が増えてきたら、会計ソフトに切り替えると負担が減る
税務調査に強い帳簿と領収書は説明できる状態がすべて
税務調査に強い記録とは、完璧に整った帳簿ではなく、聞かれたときに自分で説明できる記録のことです。どんなに立派なソフトを使っていても、中身を説明できなければ意味がありませんし、逆に手書きやExcelでも、説明できれば十分に通用します。
やるべきことは、突き詰めると3つだけです。私自身、9年間この範囲から大きく外れたことはありません。
- 事業に関係する領収書やレシートを、月ごとにまとめて保管する
- 売上と経費を、あとから見返せる形で記録しておく
- 判断に迷った経費には、なぜ事業に必要だったのかを一言残しておく
この3つに共通するのは、後から自分で確認できる状態をつくることです。税務調査で問われるのは、記録が美しいかどうかではなく、その支出や売上をきちんと説明できるかどうかです。だからこそ、道具の立派さより、続けられる形で記録が残っていることのほうが大切になります。
では、その記録を具体的にどう残すか。まずは領収書と帳簿の最低限のルールを押さえたうえで、私が会計ソフトからExcelに戻した理由へと話を進めていきます。
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私がマネーフォワードからExcelに戻した理由
私は今、青色申告の帳簿を会計ソフトではなくExcelだけでつけています。以前はマネーフォワード クラウドを使っていましたが、あえて手作業に戻しました。ソフトをやめたのは不便だったからではなく、自分の取引の状況に対して、機能が過剰になったからです。
取引が減って安定したらExcelで足りた
戻した一番の理由は、取引先が数社に絞られ、毎月の出入りが安定したことです。案件を広げていた時期は、口座やカードを連携して明細を自動で取り込めるマネーフォワードが頼もしい存在でした。入力の手間が減り、抜け漏れも起きにくく、確定申告のたびに助けられていました。
ところが取引先が落ち着いてくると、毎月記録する内容がほとんど固定されてきました。売上は決まった相手からのもの、経費も種類が限られている。そうなると、自動連携のありがたみより、月額の費用や、たまに発生する連携の確認作業のほうが気になり始めたのです。自分の状況が変わったのに、道具だけ以前のままでいいのか。そう考えたときに、一度立ち止まってみようと思いました。
大切なのは道具ではなく続けられることだと気づいた
実際にExcelに戻してみて気づいたのは、記録に必要なのは高機能なソフトではなく、自分が続けられる仕組みだということでした。今は、日付・相手・金額・勘定科目・目的を横に並べただけの、シンプルな表で記録しています。特別な関数も、凝ったレイアウトも使っていません。
青色申告というと複式簿記が必要で、ソフトがないと無理だと思われがちです。けれど取引がシンプルなら、自分で構造を理解しながら記録するほうが、かえって中身を把握できます。どこに何を書いたか自分でわかっているので、仮に税務調査で聞かれても、その場で説明できる安心感があります。もちろん、これは私の取引が少ないから成り立つ話で、誰にでもExcelをすすめるわけではありません。次の章では、逆にソフトを使ったほうがよい人についてお話しします。
それでもマネーフォワードが向いている人
Excelで足りるのは、あくまで取引がシンプルな場合です。取引先や経費の種類が多い人にとっては、会計ソフトのほうがはるかに負担が軽くなります。私自身、案件を広げていた時期はマネーフォワード クラウドに助けられていたので、ここは正直にお伝えします。
次のような状況に当てはまる人は、無理にExcelで頑張るより、会計ソフトを使ったほうが時間も気持ちも楽になります。
| こんな人 | ソフトが向く理由 |
|---|---|
| 取引先が多い・案件数が多い | 売上の記録が増えるほど、手入力は抜け漏れが起きやすい。自動連携で取りこぼしを防げる |
| 経費の種類が多い | 勘定科目の仕分けが複雑になる。ソフトなら自動で分類され、判断の負担が減る |
| レシートや領収書が大量にある | 1枚ずつ手入力するのは現実的でない。スマホ撮影やスキャンでまとめて取り込める |
| インボイスの対応が煩雑に感じる | 登録番号や税率ごとの計算をソフトが処理してくれるため、対応漏れを防ぎやすい |
共通しているのは、記録する量が多く、手作業では管理が追いつかなくなってきた人です。私がマネーフォワードを使っていたのも、まさに複数の案件を並行して抱えていた時期でした。取引が増えてきたと感じたら、それは道具を見直すサインだと考えてよいと思います。
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帳簿づけを続けるための工夫
帳簿づけで一番大切なのは、正確さよりも続けられることです。どんなに完璧な方法でも、続かなければ意味がありません。私自身、以前は一円単位できれいに合わせようと気負い、それが記帳を後回しにする原因になっていました。
今は完璧を目指すのをやめ、途切れず記録を残すことだけを優先しています。具体的に意識しているのは、次の4点です。
- 記録はためこまず、週に一度など決まったタイミングで手をつける
- 迷った経費は完璧に判断しようとせず、目的をメモして先に進む
- 領収書は月ごとにまとめるだけにして、貼り方や並べ方に凝らない
- 記録と見直しを分けて、一度に完成させようとしない
共通するのは、判断や作業を一度に背負い込まないことです。やる気に頼るとどこかで途切れるので、決まったタイミングで手をつけると仕組みで決めてしまう。こうして途切れず残った記録こそが、税務調査で問われたときに自分を助けてくれる一番の備えになります。具体的にどんな帳簿や領収書の整理方法があるのか、ツールを使う場合と使わない場合の使い分けについては、税務調査に耐える帳簿・領収書の整え方の記事で詳しくお話ししています。この記事では「記録を説明できる状態にしておく」という考え方だけ持ち帰ってもらえれば十分です。
帳簿・領収書の整え方に関するよくある質問
最後に、フリーランスの帳簿と領収書についてよく寄せられる疑問をまとめます。記録の方法に迷ったときの参考にしてください。
青色申告でもExcelで帳簿をつけていいのか?
青色申告でもExcelで帳簿をつけて問題ありません。法律上、会計ソフトの使用は義務ではないためです。私自身、青色申告をしながら今はExcelだけで記録しています。ただし65万円の特別控除を受けるには複式簿記での記帳が必要なので、Excelで行う場合は複式簿記の形式を自分で整える必要があります。取引がシンプルなら十分に対応できます。
帳簿づけに会計ソフトは必要なのか?
必須ではありませんが、取引量が多い人にはあったほうが楽です。取引先や経費の種類が増えると、手作業では抜け漏れや仕分けの負担が大きくなるためです。目安として、複数の案件を並行していてレシートが毎月たくさん出るなら、ソフトの自動連携が効いてきます。逆に取引が少なく安定しているなら、Excelでも無理なく回せます。
帳簿は手書きでもいいのか?
手書きの帳簿でも法律上は認められています。大切なのは形式ではなく、記録が残っていて説明できることだからです。ただし手書きは集計や修正に手間がかかり、転記ミスも起きやすいため、パソコンが使えるならExcelや会計ソフトのほうが実用的です。手書きにこだわる理由がなければ、デジタルで記録するほうが後々楽になります。
レシートでも経費として認められるのか?
宛名のないレシートでも経費として認められます。日付・金額・店名・品目が記載されていれば、支出の証明として十分だからです。むしろ購入品目まで印字されるレシートは、宛名だけの領収書より内容が具体的な場合もあります。事業のための支出だと説明できるように、必要なら目的を一言メモして保管しておきましょう。
領収書は何年保管すればいいのか?
迷ったらすべて7年間保管しておけば間違いありません。青色申告は原則7年、白色申告の領収書は5年ですが、インボイスに該当する書類は申告方法を問わず7年の保管が必要です。区分ごとに分けて覚えるより、まとめて7年残すと決めておくほうが管理が楽になります。私も年度ごとにまとめて保管しています。
自分に合った帳簿の整え方を続けることが一番の備え
税務調査に強い帳簿とは、完璧に整った記録ではなく、聞かれたときに自分で説明できる記録のことです。そのために会計ソフトが必須というわけではなく、取引がシンプルなら青色申告でもExcelで十分に回せます。私自身、案件が多い時期はマネーフォワードに助けられ、落ち着いた今はExcelに戻しました。大切なのは道具の立派さではなく、自分の状況に合ったやり方を、途切れず続けることです。
あわせて読みたい記事として、税務調査そのものへの不安や備え方を知りたい方はまじめに申告していても怖いフリーランスの税務調査、請求書の作り方やインボイス対応を整えたい方はフリーランスの請求書で失敗しない完全ガイドをご覧ください。帳簿や経理の負担から働き方そのものを見直したくなったときは、フリーランスを辞めたいときの判断軸も参考になります。
道具を増やしても、片づかないと感じたら
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