MECE(ミーシー)について見聞きしたことはありますか?
MECEとはものごとをロジカルに考えるためのフレームワークの一つで「漏れなくダブリなく」を意味します。
例えば、ある仕事について大きなプロジェクトを一つひとつのタスクに分解したり、資料を作成する際にテーマから章立てをしたりする際には、MECEの考え方が不可欠です。
そして、これまで多くのWebライターと接してきた中で感じたこととして、MECCEは多くのビジネスパーソンが課題としている点でもあります。
この記事では、MECEについて具体例など示しながら基礎知識や仕事での活用方法・MECEを用いたロジカルシンキングの手法・ノート術などを解説します。
特に、タスクが完了させられずに困っている方や、効率のよい仕事の進め方を模索している方、わかりやすく記事や資料が作成できずに悩んでいる方などは、ぜひ参考にしてください。
MECEとは?ロジカルシンキングを支える思考のフレームワーク
最初にMECEの概要・ロジカルシンキングとの関連性について解説します。
MECEの概要と具体例
MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)とは、直訳すると「互いに排他的で、全体として網羅的」という意味を持つ言葉です。
より分かりやすく言い換えると、「漏れなく、ダブりなく」情報を整理するためのフレームワークです。
MECEのフレームワークは、大きく2つの要素から構成されます。
Mutually Exclusive(互いに排他的): 各要素が互いに独立しており、重複がない状態
例えば、「男性」と「女性」は互いに排他的な関係にあります。
MECEを適用する際には、要素同士が重複しないように注意することが重要です。
今回の例でいえば「男性」と「男子学生」などのように重複があると、同じ問題を何度も検討したり、複数の解決策が干渉し合ったりする可能性があるため、非効率なだけでなく、誤った結論を導くリスクも高まります。
Collectively Exhaustive(全体として網羅的):全ての要素を網羅しており、抜け漏れがない状態
例えば、「平日」と「休日」は、1週間の全ての日を網羅しています。
MECEを適用する際には、考慮すべき要素を全て洗い出し、抜け漏れがないように注意することが重要です。
抜け漏れがあると、重要な要素を見落としてしまい、問題解決や意思決定において不十分な結果になってしまう可能性があります。
MECEを同時に満たしている状態であれば、物事を論理的に正しく分類できます。
MECEとロジカルシンキングの関係
MECEは、情報を整理し、構造化する際に役立つフレームワークです。
情報をMECEに整理することで、問題の全体像を把握しやすくなり、論理的な思考に基づいた解決策を導き出すことができます。
例えば、自社製品の利用者層を年齢・性別のデータで分類する際、「20代以下・30代・40代以上」「男性・女性」のように分類の軸を設定すると漏れも重複もなく情報を集計でき、どの層から支持されているのかが明確になります。
MECEを用いて作成したデータをさらに分類することにより、理にかなった深い考察をすることも可能です。
逆にいえば、MECEが満たされていない状態でどんなに詳細な分析をしても、正しい分析は得られません。
MECEはロジカルシンキングの土台の一つであるといえます。
MECEで資料作成を劇的に改善!ロジカル分かりやすい資料作成のステップ
MECEは、ロジカルでわかりやすい資料作成に不可欠です。
情報を漏れなく、重複なく整理し、論理的な構成で資料を作成することで、読み手や聞き手にとって分かりやすく、説得力のある資料を作成できます。
ここでは、MECEを資料作成に活かす具体的なステップと事例を紹介します。
ステップ1: 資料の目的を明確にする
まずは、資料作成の目的を明確にしましょう。
ロジカルな資料を作成するためには、ゴールが明確になっていることが不可欠であるためです。
逆にゴールが決まっていないと、どうしても余計なトピックを盛り込んでしまったり、必要な情報が抜け落ちてしまったりするリスクが高まります。
資料の目的を設定する際に重要なことは、 誰に何を伝えたいのか、資料を通してどのような行動を促したいのかを具体的に定義することです。
以外と、資料作成する際に抜け落ちてしまいがちなポイントなので、特に慣れるまでの愛大は目的の設定を強く意識して取り組みましょう。
ステップ2: 資料の構成要素を洗い出す
MECEの「網羅性」を意識しながら、資料に必要な情報を全て洗い出します。
この際、ブレインストーミングやマインドマップを活用すると、より多くの情報を思いつきやすくなります。
マインドマップの効果的なやり方や活用法については「」で詳しく解説しているので、気になる方はぜひ参考にしてください。
また、資料の目的を達成するために必要な情報かどうかを常に意識しながら情報を収集しましょう。
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ステップ3: 情報を分類・整理する
洗い出した情報を、MECEの「排他性」を意識しながら分類・整理します。
情報をグルーピングし、階層構造で整理することで、資料の全体像が把握しやすくなります。
また、このときに情報の階層がズレてしまうケースをよく目にするため、情報の階層が一致していることをしっかりと確認しましょう。
例えば、自社サービスの売上アップについての資料を作成する際に、「マーケティング施策」の一つである「SNS広告」を「マーケティング施策」と同じ階層で資料を作成するといった問題です。
この場合、本来「SNS広告」は「マーケティング施策」の一つであるため、以下のように分類しなくてはなりません。
○自社サービスの売上アップ
- 販売促進施策
- 店頭でのキャンペーン
- 折り込みチラシの配布
- SNS広告
- 営業施策の実施
- 代理店へのアプローチ
- 営業スタッフの増員
あくまでも例ではありますが、上記のように情報の階層についてもしっかりと意識することがMECE活用のためには不可欠です。
ステップ4: ロジックツリーで論理構造を構築する
MECEで情報を整理したら、次はロジックツリーを活用して、資料の構造を作成します。
ロジックツリーは、情報を階層的に整理し、論理的なつながりを視覚的に表現するフレームワークです。
これにより、資料全体の論理構造が明確になり、聞き手にとって理解しやすく、説得力のある資料を作成できます。
ロジックツリー作成時のポイントは、以下のとおりです。
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メインメッセージを明確にする: 資料全体で伝えたい最も重要なメッセージ(結論)を明確にする
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根拠となる情報を階層的に展開する: メインメッセージを支える根拠となる情報を、MECEの原則に則って階層的に分解する
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Why-So分析を活用する: 各階層の情報に対して、「なぜそう言えるのか?」(Why)と「だから何なのか?」(So What)を繰り返し問いかける
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図解を活用する:図解で表現することで、より視覚的に理解しやすくなる
階層を意識しながらロジックツリーを作成することで、全体の論点が明確になります。
ステップ5: ストーリーラインを作成する
ロジックツリーを基に、資料のストーリーラインを作成します。
ストーリーラインは、資料の各セクションがどのようにつながり、全体としてどのようなメッセージを伝えるのかを示すものです。
ストーリーラインを明確にすることで、聞き手にとって分かりやすく、記憶に残る資料を作成できます。
【職種別】MECE×ロジカルシンキングが重要視される理由
MECEとロジカルシンキングを組み合わせることで、ビジネスには具体的なメリットが多数あります。
逆にいえば、MECEをマスターしていないと多くの損失を生んでしまい兼ねないということです。
この章では、私が実際に体験した仕事でMECEがどれほど重要だったかということを開設します。
個々で紹介するのは、あくまでもそれぞれの職種におけるMECE活用の場面の一例であり、MECEやロジカルシンキングの活躍する場面はほかにも無数にあることを覚えておきましょう。
Webライター・Webライター:説得力のある記事にはMECEが欠かせない
MECEは、SEOライティングにおいて最も重要なポイントの一つである「網羅性」のある記事を作成するために欠かせない要素です。
単に情報を網羅するだけなら、極端なことをいえば競合記事に記載されていることをすべてそのまま盛り込んでもよいのですが、そうすると記事が無駄に長くなります。
1本の記事を作成するのに時間がかかりすぎてしまったり、結局読者に読まれなくなってしまったりとデメリットも少なくないため、情報を過不足なく伝えることは非常に重要です。
MECEの考え方を理解していれば、ゴールである情報を伝えるために何が必要で何が不要なのかが明確になります。
私はWebコンテンツの業界に7年以上いますが、WebライターやWebディレクターにとってMECEは最も重要なスキルの一つだと考えています。
ちまたにはさまざまなWebライティングのノウハウがありますが、それらよりもMECEを極めるほうが重要だと思えるほどです。
意識的にせよ無意識にせよ、MECEを体得していない場合にはロジカルな構成を作成できません。
結果として、そのようなライターやディレクターが作成する記事は、主題があいまいになり、日記や散文のような文章になってしまいがちです。
ロジカルな文章を好むGoogleに高く評価されるためにも、読者に伝えたい情報を届けるためにもMECEを習得しましょう。
営業職:顧客のニーズの把握と最適な提案のためにMECEが役立つ
営業職のスタッフが自社商品を顧客に紹介する際には、基本的には他社製品・サービスとの比較をしながら説明することが多いのですが、このときに役立つのがMECEを使用したフレームワークです。
通常、顧客が商品を選ぶときには製品の品質・納期・サポート体制・価格・評判などさまざまな項目で複数の商品と比較します。
営業職のスタッフが顧客の思考を先回りして、顧客が比較をしたいと考えていることに対して適切な情報を与えることで、顧客に対して「優秀だ」という印象を与えることができます。
このとき、必ずしも自社の製品・サービスがすべての項目で勝っている必要はありません。
むしろすべての項目で勝るのは不可能です。
「製品のカラーバリエーション派競合製品よりも少ないものの、故障しにくさとサイズは自社製品のほうがすぐれている」
「他者製品よりも納期はかかるが、納品までの期間と価格の面では勝っている」
といったように、比較ポイントを明確にして資料を作成することで、見込み顧客の判断を後押しできるはずです。
マーケティング職:自社のターゲットを明確にセグメントできる
さまざまなマーケティング施策を顧客に届けるために重要なことが、誰を情報のターゲットにするかというポイントです。
このとき、MECEをマスターしていれば、漏れなくダブリなく顧客層となりうるすべての分類を洗い出すことができます。
リストアップさえできれば、どの層にマーケティング策を展開すればよいのかを選ぶだけです。
具体的には、「年代」「性別」「年収」「職業」「自社との関わり(購入経験の有無)」「趣味」など、どの項目に対してセグメントをかけるのか、「10代」「20代」「30代」「40代」「50代以上」の子階層のなかでどのターゲットにアプローチするのか、など正確な分類ができていれば、ターゲットを明確に設定してマーケティング施策を展開できます。
また、クーポンDMの送信などマーケティング施策を展開したらどの程度反響があったのかを確認することもできます。
その結果、次回のマーケティング施策を展開する際に、施策が当たった層に対して優先的に施策を展開できるということです。
MECE・ロジカルシンキングを実践するならデジタルノートやノートアプリがおすすめ
MECEのフレームワークに沿ってロジカルシンキングを実践するなら、手帳やノートよりもデジタルのノートがおすすめです。
実際に実践してみて分かったことですが、MECEに沿ってノートをまとめようとすると、ある程度慣れていたとしても途中で階層が違っていたり、漏れが生じていたりすることに気づくケースが多々あります。
手書きの場合は、消したり別のページに新たに書き直したりしなくては鳴らないことが多くなるため、手軽に消したり付け足したりできるノートアプリのほうが利便性が高いということです。
ただし、ノートアプリの機能やUIはさまざまなので、使いやすい者を選ぶ必要があります。
私が実際に頻繁に利用しているのはHeptabaseとAmplenoteです。
手軽にマインドマップが作成できるHeptabase
Heptabaseは、ビジュアライズ化されたノートを作るのに最適なノートアプリです。
有料ツールで無料での利用を期待している方は選択肢から外れてしまうのが残念ではあるのですが、個人的な意見としてはHeptabaseほどマインドマップ作成が手軽にできるツール・アプリは他に知りません。
しかも、単にマインドマップを作成できるだけではなく、ノート同士を連携させたり、ノートを横断で検索したり、ノートの階層を掘り下げたり、1つのノートを立体的・多角的に作成できるツールです。
そのため、一見シンプルながら、視認性を落とさずに書きたい情報を全部盛り込むことができます。
ノートの全体像を把握しやすいため、全体の構造や階層がわからなくなるという心配はほとんどする必要がありません。
情報の網羅性と視認性を両立したい方におすすめしたいのがHeptabaseです。
スピーディーなデータの入力が可能なAmpletnote
個人的に使用していて、とてもデータが入力しやすく、スピーディな操作を可能とするツールがAmplenoteです。
Amplenoteも有料ツール(月額$5.84~)ではありますが、無料会員でも大半の機能を利用できます。
MECEを実践するときのAmplenote最大の魅力は、多彩なショートカットキーです。
見出しや箇条書き作成についても手軽にショートカットキーで作成できるため、階層をメモしたいときにとても便利です。
また、見出し設定した情報はたたんだりオープンにしたりできるため、見出しレベルで必要な情報を確認したり、MECEが満たされているか否かをチェックしたりするなどの使い方ができます。
まとめ|MECEで思考を整理し、生産性を向上させよう!
MECEとロジカルシンキングは、仕事や生活のあらゆる場面で役立つ強力なツールです。
これらのスキルを身につけることで、問題解決能力を高め、生産性を向上させることができます。
ぜひ、この記事で紹介した方法を試して、あなたのポテンシャルを最大限に引き出しましょう。