テレワークが急速に広がった一方で、「うちの働き方は本当にテレワークなのか?」「リモートワークとは違うのか?」といった疑問を抱えていませんか?
同じ職場でも、在宅勤務の人と出社勤務の人が混在する中で、働き方のルールや前提を明確にできないまま、なんとなく「テレワーク」という言葉だけが一人歩きしているケースも少なくありません。
本記事では、「テレワークとは何か?」を出発点に、類似用語との違いや制度としての背景、メリット・デメリット、導入時のポイントまでを丁寧に整理しました。
制度運用に悩む企業担当者や、自分の働き方にモヤモヤを抱えるビジネスパーソンに向けて、わかりやすく、かつ現場感ある情報をお届けします。
テレワークとは何かを正しく理解する
テレワークという言葉を聞いたことはあっても、定義や制度的な位置づけが曖昧なまま使っている人も少なくありません。
ここではテレワークの意味や背景、一般的な誤解について整理します。
テレワークの定義と起源
テレワークとは、「ICT(情報通信技術)を活用して、時間や場所にとらわれずに柔軟に働く形態」のことです。
日本では、1984年に通商産業省(現:経済産業省)が提唱したのが起源とされています。
英語の「tele(離れた所)」と「work(働く)」を組み合わせた造語であり、単なる在宅勤務とは異なる包括的な働き方を指します。
ここで重要なポイントは、テレワークは在宅勤務だけでなく、モバイルワークやサテライトオフィス勤務も含まれるということです。
制度設計や労務管理においても、一般的な定義としては上記の基準です。
リモートワークとの違い
テレワークとリモートワークは、実務上はしばしば同義で使われますが、厳密にはニュアンスが異なります。
テレワークは、ICTを活用した柔軟な勤務形態として制度や政策の文脈で使われる用語です。
一方、リモートワークは主にIT業界を中心に用いられた言葉で、オフィス以外の場所で業務を行うこと全般を指します。
制度の枠を超えて、働く場所の自由度に重点が置かれる傾向があります。
そのため、企業の制度や法的整備を検討する際にはテレワークという語が中心となりますが、実務者同士の会話では「リモートワーク」が親しみやすいケースもあります。
言葉の使い分けが議論や運用のズレを招くこともあるため、意図を明確にしたうえで使うことが大切です。
在宅勤務・モバイルワーク・サテライト勤務の違い
テレワークには、以下の3つの勤務形態があります。
それぞれの違いを整理しておきましょう。
種類 | 説明 |
---|---|
在宅勤務 | 自宅でPCやインターネットを用いて業務を行う働き方 |
モバイルワーク | カフェや移動中など、固定された場所にとらわれずに業務を行うスタイル |
サテライト勤務 | 本社以外の拠点(共有オフィスなど)で業務を行う形態 |
この分類は、企業の制度設計や労働時間管理、経費精算ルールを検討する際の前提となります。
特に出勤と在宅の勤務形態の併用が増えている現代においては、これらの違いを押さえることが制度運用の混乱を防ぐためのポイントです。
従業員側としても、自分自身の出勤形態を理解しておくことは重要です。
テレワークが注目される社会的背景
なぜ今テレワークで働く意義が高まっているのでしょうか?
制度の整備や社会構造の変化、感染症対応など、導入背景を多面的に解説します。
感染症対策による普及と定着
テレワークが急速に広がった最も大きなきっかけは、2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的な流行です。
企業は通勤や対面業務を制限する必要に迫られ、急ごしらえの形で在宅勤務を導入します。
東京都の調査によると、感染拡大初期の2020年5月時点で、東京都内の企業の約7割が何らかの形でテレワークを導入していたというデータもあります。
参考:東京都 TOKYOはたらくネット
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/hatarakikata/telework/r4tyousa.pdf?product=true&_ga=2.86268184.1412720989.1633334996-173674606.1627192201&_gl=1
当初は一時的な対応として始まったものの、感染拡大が長期化する中でテレワークは例外的な働き方”から“選択肢の一つへと変化しました。
加えて、通勤ストレスの軽減や柔軟な働き方の実現といった副次的効果に気づいた企業・個人も多く、結果的に制度としての定着が進んだのです。
働き方改革と労働人口の減少
テレワークが推進される背景には、少子高齢化による労働力不足という構造的な課題もあります。日本の生産年齢人口(15〜64歳)は年々減少しており、2030年には約6,800万人まで減ると予測されています。
こうした状況下で、時間や場所の制約に縛られにくい働き方を導入することは、潜在的な労働力(子育て中の女性、高齢者、地方在住者など)を取り込む手段としても有効です。
政府の「働き方改革実行計画」でも、テレワークは柔軟な就労形態の一つとして明確に位置づけられています。
また、企業側にとっても、人材確保・定着の観点からテレワークの導入はもはやコスト削減目的だけでは語れなくなってきています。
地方創生・多様な人材活用との関係
テレワークは都市から地方へという人材や仕事の流れを生み出す契機にもなっています。
特に注目されているのが、地方移住とテレワークを掛け合わせた「関係人口」創出の取り組みです。
内閣府や総務省は、テレワークにより地方で働く選択肢を増やすことで、都市部への一極集中を是正し、地方創生につなげようとしています
(出典:https://www.chisou.go.jp/tiiki/telework.html)
一部自治体では、テレワーク移住者への補助金制度や“テレワーク向け住居”の提供なども進んでいます。
また、企業にとっても、テレワークを通じて全国から多様なスキル人材を採用・活用できるようになるため、人事戦略の見直しにも直結しています。
テレワークのメリットとデメリット
この章では、実際にテレワークを導入した企業や個人の視点から、メリットとデメリットの両面を整理します。
メリットとデメリットの両面を見ることで、より深くテレワークを理解できるはずです。
企業側の主なメリット
テレワークの導入により、企業はコスト面・人材面・危機対応面で多くのメリットを得られます。
コスト削減(オフィス・人件費)
オフィスの面積縮小、光熱費の削減、備品・通勤手当の抑制、ペーパーレス化や出張の削減による間接的な費用削減などが可能です。
総務省の報告によれば、テレワーク導入企業のうち、14.3%がテレワークの効果としてコスト削減を挙げています。
(出典:厚生労働省「テレワークを巡る現状について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000662173.pdf
ただし、労働者側は注意が必要です。
企業側がコストを削減できる一方で、光熱費や通信費などの費用負担により、通勤時よりも生活費が高くなる可能性があるためです。
テレワークをするようになり、毎月の費用負担がどのように変更になるかチェックしましょう。
優秀な人材確保・離職率の低下
場所に縛られない働き方が可能になることで、育児・介護などの事情を抱える人材や、地方在住の高スキル人材にも門戸を開けるようになります。
さらに、柔軟な働き方を望む若手世代にとって、テレワーク制度の有無は企業選びの重要な判断軸となっています。定着率やエンゲージメントの向上にもつながる点は、経営的にも見逃せない要素です。
この点は、労働者側にとってもチャンスといえます。
昨今では、就業形態に関係なく、フルリモートでの雇用や業務委託の例も珍しくなくなってきました。
ただし、フルリモートは従来の働き方以上に仕事のクオリティが問われます。
どのようなスキルが必要とされているのかを理解して、自分自身の市場価値を見極めましょう。
事業継続性(BCP)への対応
災害・感染症・交通機関の停止といった緊急事態時にも、業務を止めずに継続できる体制は、BCP(事業継続計画)の観点から重要です。
特に災害リスクが高い日本においては、オフィス一本に依存しない働き方が企業のレジリエンスを高める要因になります。
従業員側の主なメリット
従業員にとっても、テレワークは時間的・心理的な負担を軽減し、生活の質を高める選択肢となります。
通勤ストレスからの解放
満員電車や長時間の移動から解放されることにより、ストレスの軽減や時間の有効活用が可能になります。
1日あたり往復90分の通勤時間がなくなるだけでも、年間で約330時間の自由時間を得ることになります。
ワークライフバランスの向上
通勤時間の削減により、育児や家事、趣味や学習といったプライベートの時間を確保しやすくなります。
生活満足度や精神的安定にも好影響を与える傾向があります。
家庭・育児・介護との両立
特に子育て中の親や介護中の従業員にとって、柔軟な働き方は大きな支援となります。
自治体によっては「育児とテレワークの両立支援事業」を行っている例もあり、社会的にも支援が広がりつつあります。
よくある課題とデメリット
一方で、テレワークの導入には見えない問題もつきものです。
制度面・心理面・マネジメント面から、課題を整理しておきましょう。
勤怠・タスク管理が難しい
業務の進捗や労働時間が「見えにくい」ことにより、上司・部下双方の不安が高まるケースがあります。
特に成果主義や自己管理の意識が定着していない職場では、マネジメント負担が急増するリスクもあります。
システムによる勤怠管理やOKR/タスク管理ツールの導入が推奨されますが、ツールだけに頼らず「成果の見せ方・伝え方」までを制度に落とし込む必要があります。
コミュニケーションの希薄化
雑談やすれ違いざまの会話が減ることで、チームの一体感や心理的安全性が損なわれやすくなります。
例えば、SlackやZoomを導入しても、情報共有が“報告”に偏ってしまい、感情の交流やアイデアの偶発性が損なわれるケースも少なくありません。
サボり・評価不安・孤独感の増大
StoryBlock:20代の総務スタッフ(週3テレワーク)は、「自宅での勤務は確かに快適。でも、評価されているのかが分からず、つい不安になる」と語ります。実際、カメラオフ・チャット中心の業務では、上司からのリアクションも減り、仕事への手応えが希薄になりがちです。
サボりと見られることへの懸念や、孤独感の蓄積は、自己効力感の低下や離職意欲にも直結する可能性があります。
テレワーク制度導入・活用のポイント
企業がテレワークを導入・継続する上で押さえるべき設計要素を、制度・評価・ツール・文化の観点から整理します。
制度設計と対象業務の明確化
テレワークを導入する企業・チームにおいて、まず重要なのが対象業務の明確化です。
すべての業務がテレワークに適しているわけではありません。
例えば、対面対応が必須の顧客窓口業務や、物理的な作業を伴う職種は難易度が高くなります。
そのため、テレワーク導入前には業務ごとの実施可否を洗い出し、何をどこまでリモートで担保できるかを制度として明文化しておくことが必須です。
ここでの曖昧さが、現場での混乱・非効率・不公平感を生む原因になります。
制度設計の初期段階では、部署ごとの試験導入や一部業務からのスタートも有効です。
「完全導入ありき」ではなく、段階的に精度を高めていく方が、現実的で納得感のある展開が可能になります。
テレワークするか否かが従業員に委ねられている企業・チームにおいては、個人がその判断をすることになるため、まずは個人レベルでの仕事の棚卸をしましょう。
そのうえで、どの仕事を在宅でできるのか考えることが重要です。
在宅で仕事をする際には、必要なツールや環境が自宅にそろっているか否かについてもチェックが必要です。
勤怠・評価制度の見直し
テレワーク導入時に必ず見直すべきなのが、勤怠と人事評価の仕組みです。
出勤・退勤の打刻や稼働時間の可視化には、クラウド勤怠管理ツールの導入が有効です。
ただし、形式的な管理にとどまると逆に現場の不信感を招くため、稼働状況だけでなく成果や貢献プロセスに着目した評価制度との連携が求められます。
形式を整えるだけでなく、評価の透明性と納得感を高める工夫が、テレワーク制度を根付かせるカギとなります。
従業員側としては、ここで特に難しいことが求められるわけではないもののルールに沿った行動が求められます。
テレワークで人の目が届かないからこそサボりがちになってしまう方は、自戒をしながら仕事できるように意識付けをしましょう。
セキュリティと情報管理の強化
オフィス外で働くことが前提となるテレワークでは、情報漏えい・端末盗難・なりすましログインといったセキュリティリスクが高まります。
そのため、企業側としては以下のような対策が求められます。
- VPN(仮想プライベートネットワーク)による通信の暗号化
- 勤務用PCへのアクセス制限と資産管理ツールの導入
- パスワード管理の徹底と多要素認証の活用
- 社内チャット・クラウドストレージの運用ルール明文化
会社側での対策が整っていればテレワーカー側は会社のセキュリティ方針に沿って仕事を進めれば問題ありません。
しかし、ルールの整っていない中小企業の従業員やフリーランスの方などは自分でセキュリティ対策や場合によってはVPN環境を整える必要があります。
ストレージ環境などについても安全性の高い環境を構築する必要があります。
ICTツールの導入と運用
テレワーク制度を支える実務基盤として、ICTツールの導入は不可欠です。ここでは、2つのカテゴリに分けて解説します。
勤怠管理・業務進捗ツール
労働時間の可視化・工数管理・作業記録などを目的に、以下のようなツールが活用されています。
- 勤怠管理:ジョブカン、KING OF TIME
- プロジェクト管理:Backlog、Asana、ClickUp
- タスク記録:Toggl Track、TimeTree、Notion
導入の際は、使いやすさと集計・連携のしやすさの両立を意識することがポイントです。
チャット・ビデオ会議ツール
コミュニケーションを維持するためには、リアルタイム性の高いツールが欠かせません。
代表的な選択肢として以下があります。
- チャット:Slack、Chatwork、Microsoft Teams
- 会議:Zoom、Google Meet、Teams(会議機能も統合)
また、ビデオ会議における話すタイミングの見極めや聞いている姿勢の可視化といった暗黙のルールも、チームごとに明文化することで、コミュニケーションの質が安定します。
テレワーカーとしては、ここでも会社のルールに沿って対応すれば問題ありません。
ChatWorkなどのコミュニケーションツールの有料契約の必要性の有無や費用をどのように負担するのかなどはあらかじめ確認しておきましょう。
社内コミュニケーションと文化醸成
テレワーク導入後、制度・ツールが整っていても、現場の心理的な温度差が原因で制度が形骸化するケースは少なくありません。
そのため、制度運用と並行して文化形成の視点を持つことが重要です。
例えば以下のような施策が有効です。
- オンラインランチや雑談チャンネルの活用
- 朝会・週次共有での感情や気づきのシェア
- 1on1面談の定例化による相互理解の強化
制度は土台、文化は水やりです。
どちらが欠けても、制度は根付きません。
テレワーク活用に関する実態と事例
業種・規模・環境によってテレワーク活用の実情は異なります。
この章では、リアルな導入例や運用の工夫を紹介します。
中小企業でのテレワーク運用例
中小企業にとって、テレワークはやりたいけど難しいと感じるテーマの一つです。
リソースやITインフラが限られている中、いかに効果的に導入・継続するかが課題となります。
例えば、東京都内の建設業者では、事務部門のみを対象にGoogle Workspaceを活用したテレワークを実施しています。
紙での申請業務が多かった同社では、Googleフォーム+スプレッドシートで社内フローを可視化し、事務作業のオンライン化に成功しました。
また、総務・経理担当者の週2在宅勤務を導入したことで、通勤負担の軽減や集中作業の質向上が得られた一方で、「FAX対応」や「印鑑文化」とのギャップも浮上しました。
そこで、月に1回の制度見直しミーティングを行い、PDCAを回す体制を整えています。
ポイントは、「全部一気に」ではなく「少しずつでも制度を回しながら改善する姿勢」です。完璧を目指さない導入が、中小企業におけるテレワーク成功の鍵になります。
PDCAについては、以下で詳しく解説しています。
▷参考記事:
大企業での制度化された活用事例
一方で、大企業ではテレワークを全社的に制度化し、多様な部署・職種に展開しているケースが増えています。
例えば、NTTグループでは全社員にテレワーク制度を導入し、2022年度には約8割の社員が週3日以上のテレワークを実施しています。
紙業務の廃止や電子承認システムの全社導入に加え、「対面でやるべきこと」と「オンラインで完結すべきこと」の線引きをガイド化して明示した点が特徴です。
また、リクルートでは「社員が働き方を選べる」カルチャーを尊重し、オフィスは“集まるための空間”として再定義されています。
出社が必要な場面を明示することで、現場の混乱やストレスを最小限に抑えています。
このように、制度設計・ツール活用・カルチャーの整合性を図ることが、テレワークの“形骸化”を防ぐ鍵となります。
個人レベルでのテレワーク工夫・声
現場のリアルな声は、制度設計やツール選定のヒントになります。
ここでは、職種やライフスタイルに応じた個人の工夫を紹介します。
【20代エンジニア(フルリモート勤務)の事例】
「朝一番にその日の予定と気分をNotionに書き出すようにしている」と語ります。
これにより、自分の状態やタスクの優先順位を整理できるうえ、上司との1on1でも共有がスムーズになるとのこと。
【40代のマーケター(週2テレワーク)】
ビデオ会議前に意図的に雑談タイムを設けることで、チーム内の心理的距離を縮めるよう工夫しています。
「仕事の話だけだと相手の人間性が見えない。ちょっとした雑談が信頼関係を築くきっかけになる」と語っていました。
テレワークでは制度だけでなく、自分なりの過ごし方が生産性や満足度に大きく影響します。こうした実践的な声は、現場での再設計に活かせる貴重な材料です。
テレワークに関するよくある質問
読者の理解を深め、実際の導入や活用に向けた心理的障壁を取り除くため、FAQ形式で疑問に回答します。
テレワークは会社の義務なのか?
現時点でテレワークは「義務」ではなく、「努力義務」にとどまります。厚生労働省は企業に対してテレワークの導入を推奨していますが、法律で強制されているわけではありません。
ただし、感染症拡大や災害時など非常事態においては、労働安全衛生の観点から企業側に柔軟な対応が求められる場面もあります。そのため、義務ではなくとも「導入しておくべきリスク管理策」として認識されつつあります。
副業やバイトもテレワークと呼べるのか?
テレワークは「働き方」を示す言葉なので、雇用形態に関係なく適用されます。したがって、正社員・契約社員・副業・フリーランス・アルバイトなどすべての就労形態において、ICTを活用して場所に縛られずに働いていれば「テレワーク」と言えます。
副業としてのテレワークには、ライティング・動画編集・カスタマーサポート・オンライン秘書などがあり、クラウドソーシングサービスを通じて受注されることも増えています。
注意点としては、本業と副業の時間管理や守秘義務の切り分けが求められるため、契約内容とルールを確認しておくことが重要です。
テレワークと在宅勤務はどう違うのか?
在宅勤務は、テレワークの一形態です。
テレワークは「時間や場所にとらわれず働ける勤務形態」を指す総称であり、その中に「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」などが含まれます。
つまり、テレワーク ⊃ 在宅勤務 の関係にあります。混同しがちですが、社内制度や就業規則を定める際は、この違いを意識しておくことで対象業務や評価の設定がスムーズになります。
テレワークを廃止する企業があるのはなぜ?
一部の企業でテレワークを廃止・縮小する動きが見られる背景には、以下のような理由があります。
– 若手社員の育成・OJTがしづらい
– 組織の一体感や帰属意識の低下
– 労務管理や評価が難しく、成果との因果が不明瞭
– 出社前提のビジネスモデルや業務フロー
例えば、トヨタやメルカリが「出社回帰」に舵を切ったことが報道され、話題になりました(参考:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC043550U3A800C2000000/)。
ただし、完全な廃止というより「ハイブリッド化(必要なときに出社)」へ移行する企業が多く、「出社とテレワークの最適バランス」を模索するフェーズに入ったとも言えます。
まとめと今後の働き方へのヒント
テレワークの理解を深めた読者が、今後の働き方について主体的に考えられるよう整理する。未来の選択肢としてのテレワークの位置づけも示す。
テレワークを「正しく理解する」ことの意味
テレワークという言葉は、今や広く使われるようになりましたが、「本当に正しく理解されているか」というと、まだまだ曖昧なままのケースも多くあります。
“テレワークとは在宅勤務のこと”という誤解、“制度はあるけど誰も使っていない”といった形骸化、“リモートワークとの違いがよくわからない”という混乱——こうしたズレを埋める第一歩は、「定義と制度の構造」を正確に押さえることです。
なぜそれが重要かというと、制度の運用や導入効果の評価が“言葉のズレ”によって阻害されるリスクがあるからです。言葉を揃えれば、制度も浸透しやすくなり、コミュニケーションもスムーズになります。
これからの働き方にどう向き合うか
働き方はこれから、さらに多様化していきます。フルリモート、週数回のハイブリッド勤務、業務委託や副業との組み合わせなど、選択肢は広がる一方です。
重要なのは、「制度に合わせて働く」のではなく、「自分の働き方に制度を近づける」発想です。個人も企業も、“選べる前提”を持つことが、持続可能な働き方の鍵となります。
そのためには、評価制度・ツール・文化を含めた総合的な整備と、実際に制度を運用する「現場の知恵」が欠かせません。最適解は一つではありませんが、ベースになるのは「正しく知ること」と「小さく試すこと」です。
自分に合ったテレワークスタイルを見つけるには
テレワークには、理想的な“正解”はありません。業務内容、チームの文化、自分自身の性格やライフステージに応じて、「どのスタイルが最も快適か」は変わってきます。
そのヒントとして、以下のような質問を自分に投げかけてみてください。
– どのタイミングで集中しやすいか?
– 人と接する頻度はどの程度が心地よいか?
– どんなツールなら自分でも無理なく使えるか?
例えば、コワーキングスペースや「テレワークホテル」を活用することで、環境を変えながら仕事に取り組むスタイルもあります。また、複数の副業やスキル開発を組み合わせた“ポートフォリオワーク”もテレワーク時代に適した働き方です。
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この記事のまとめ
– テレワークとは、ICTを活用して場所・時間を問わず働く柔軟な働き方のこと
– 在宅勤務・モバイルワーク・サテライト勤務などを含む広い概念
– 感染症対策だけでなく、人口減少・地方創生などの背景からも必要性が高まっている
– メリットだけでなく、管理の難しさやコミュニケーション不足といった課題も存在
– 成功の鍵は、「制度」「ツール」「文化」の3要素を現場に合わせて調整すること
– 自分自身や組織に合った“テレワークのかたち”を見つけることが、これからの働き方のヒントになる