漢字を「ひらく」とは?Webライティング・校正で重要
漢字を「ひらく」ということを、意識したことはありますか?
Webライティングでは、PCやスマホの変換によって難しい漢字でも使用しやすいため、漢字ばかりの文章になってしまい、記事が読みにくくなるということがあります。
読みやすい文章を執筆するうえで欠かせないのが、適切に漢字を「ひらく」ということです。
今回は、漢字を「ひらく」とはどういうことなのか、ひらがなで表記する際の基準や目安はあるのか、解説していきます。
漢字をひらく際の基準・目安
文章を執筆するときに、漢字とひらがなの使い分けの明確な基準が設けられているわけではありません。
しかし、一定の傾向はあります。
この章では、漢字をひらく際の基準を解説します。
文法を基準にする
主に、副詞、連体詞、接続詞、助詞、形式名詞、補助動詞、補助形容詞は、漢字をひらく場合が多いです。
一部、例を紹介します。
品詞名 | 例 |
副詞 | ぜひ、なぜ、さらに、あえて、ほとんど、もっとも、おそらく |
連体詞 | ある、あの、この、その、あらゆる、いわゆる |
接続詞 | また、および、しかし、ただし、あるいは、もしくは、ならびに |
助詞 | ほど、ずつ、など、まで、ぐらい、ところ |
形式名詞 | こと、もの、ほど、ため、わけ、ところ、(~の)とおり |
補助動詞 | (~して)ください、(~して)いただく、(~して)みる |
補助形容詞 | (~したく)ない、(~して)ほしい |
そのほか、当て字とされている「有難う(ありがとう)」や「目出度い(めでたい)」は、ひらがなで表記することが一般的です。
読みやすさを目安にする
明確なルールがないため、実際にライティングをしていると、これはひらくべきなのかと悩むこともありますよね。
そんなときには、文章全体の印象や読みやすさを表した比率「漢字7割、ひらがな3割」を意識してみてください。
厳密に7:3にする必要はありませんが、漢字が多い文章と適度に漢字をひらいた文章を比較してみましょう。
〇漢字が多い文章
先日、御依頼を頂きました資料を、添付ファイルにて御送り致します。
ご査収の程、宜しくお願い致します。
〇漢字をひらいた文章
先日、ご依頼をいただきました資料を、添付ファイルにてお送りいたします。
ご査収のほど、よろしくお願いいたします。
漢字が多い文章では、読む時間と内容を理解するまでの時間が長くなります。
しかし、適度に漢字をひらいた文章は読みやすく、内容もスムーズに理解することができます。
Webライティングでは、スムーズに読める文章がカギとなります。
漢字をひらくときの注意点
実際のライティングでは、漢字をひらく基準や目安に沿うことが正しいとは限りません。
各メディアや記事の内容、ターゲット層により、ひらく漢字は異なります。
原則はメディアの方向性に合わせる
各メディアでは独自のルールを持ち、表記や文章のテイストを統一させています。
同じサイト内でひらく漢字や言葉の使い方が変わってしまうと、記事によって印象が変わり、統一感がなくなってしまいます。
そのため、漢字をひらくべきかどうか悩んだときには、執筆しているメディアの表記を確認することが大切です。
表記揺れしないように意識する
「表記揺れ」とは、ひとつの記事の中で同じ言葉を漢字の表記にしたり、ひらがなの表記にしたりすることです。
校正では誤字脱字だけでなく、表記揺れがないかどうかを確認します。
同じ語句を違う表記にしてしまうと、記事全体に統一感がなく、違和感を与えてしまいます。
快適に記事を読んでもらうということは、内容をしっかり伝えるために必要なことです。
漢字のひらき基準を統一するために役立つもの
漢字のひらきの基準を統一することは簡単ではありません。
また、複数のライターがコンテンツを執筆する場合には、ライターごとにそれぞれ基準が異なるケースも多々あります。
しかし、ツールなどを活用することで、漢字のひらきを安定させることが可能です。この章では、漢字のひらきを統一するために役立つものを解説します。
コンテンツのレギュレーション
コンテンツのレギュレーションとは、記事を執筆する上で必要な条件やルールをまとめたものです。
関係者同士で出来上がりイメージの不一致を防ぐために重要とされています。
ライティングを依頼され執筆する際には、レギュレーションに沿って執筆することが基本です。
記者ハンドブック
記者ハンドブックとは、共同通信社から出版されている、用字用語集です。
同音異義語の漢字とひらがなの使い分けや正しい送り仮名、外来語の正しい表記などが記載されています。文章を書くことが仕事という方は、一冊持っていると心強いでしょう。
NHK 漢字表記辞典
NHK放送文化研究所から出版されている、用字用語辞典です。
漢字とひらがな、どちらの表記がよいか、また難解漢字の表記の仕方などが記載されています。より分かりやすく伝えるための文章づくりに役立つ一冊です。
記者ハンドブックやNHK漢字表記辞典は、文字入力ツールのATOKPassportのアドオンとして導入することもできます。ATOKPASSPORTのアドオンを設定すると、PC入力時に自動的に漢字のひらきの基準が表示されるため、その都度辞典を開く必要はありません。効率的に執筆作業を進められます。
まとめ
ひらく漢字を全部覚えて使用するのではなく、記事の完成イメージやジャンル、ターゲット層に合わせて使うことが大切です。
ひらくべきかどうか迷ったときには、レギュレーションの確認をして、漢字の表記とひらがなの表記、どちらが読みやすいか考えてみてください。
適切な表記を選ぶことで、記事が読みやすく内容が伝わりやすくなります。
記事の質を向上させるためにも必要なスキルです。
ぜひ、活用してみてください。