ひとりで振り返りをしようとしても、三日坊主で終わってしまう——。
KPT法は気になるけれど、個人で続けられるのか不安な方は多いはずです。私自身、フリーランス9年のなかでKPTを週次レビューに取り入れ、3ヶ月続けたところでやめました。
この記事では、きれいごと抜きで、ひとりKPTを実際にやって感じた本当の損得と、合う人・合わない人の違いを、私が実際に書いた週次レビューの実例とともにお伝えします。
この記事のポイント
KPT法はKeep・Problem・Tryの3つに分けて振り返るだけのシンプルな手法ですが、個人で続くかどうかは「仕事のタイプ」で大きく分かれます。
- ルーティン中心の人には効くが、インプットや動きが多い人には週次だと負担が重くなりやすい
- 一人だと「同じ問題が残り続ける」「振り返り作業そのものが煩わしい」という壁が出やすい
- それでも、先延ばしになりがちなタスクが可視化される点は大きな収穫だった
KPT法とは?3要素とPDCA・YWTとの違い
KPT法とは、Keep(続けること)・Problem(うまくいかなかったこと・課題)・Try(次に試すこと)の3つの視点で振り返るフレームワークです。それぞれが指す内容は次のとおりです。
- Keep:うまくいったこと・続けたいこと
- Problem:うまくいかなかったこと・課題
- Try:次に試したいこと・改善策
ポイントは、最初にKeep(よかったこと)から書くこと。
悪かった点だけを並べる「反省」と違い、成功を確認してから課題に進むので、前向きに振り返れます。ただし、世の中のKPT解説はチームの会議を前提にしたものがほとんどです。
この記事では、私が実際にひとりで3ヶ月やってみた経験をもとに、個人での使い方に絞ってお伝えします。続くかどうかも含めて、正直に書いていきます。
KPTの読み方は「ケプト」|「KTP」との違い
KPTは「ケプト」と読みます。Keep・Problem・Tryの頭文字をつなげた呼び方です。検索でときどき見かける「KTP」は、このKPTの打ち間違いで、指している手法は同じものです。順番もKeep→Problem→Tryで固定なので、KPTで覚えておけば問題ありません。
KPTとPDCA・YWTの違い
振り返りの手法はKPTのほかにもPDCAやYWTがあり、「どれを使えばいいのか」と迷う方も多いはずです。
結論から言うと、3つは優劣ではなく目的が違うだけです。まずは違いを一覧で整理します。
| 手法 | 構成 | 得意なこと |
|---|---|---|
| KPT | Keep・Problem・Try | その場で「続けること・やめること・試すこと」を整理し、前向きに改善する |
| PDCA | Plan・Do・Check・Action | 計画を立てて実行し、検証して次に活かす業務改善のサイクル |
| YWT | やったこと・わかったこと・次にやること | 経験から学びを引き出す。研修や個人の学習の振り返り |
KPTの特徴は、PDCAのように計画から順序立てて回す必要がなく、YWTほど学びのレポート形式に寄らない手軽さにあります。
なかでもPDCAは「計画→実行→検証」の業務改善で力を発揮しますが、検証(Check)の段階でつまずきやすい手法でもあります。
KPTと同じく振り返りが鍵になるので、あわせてPDCAが回らない原因と個人での回し方も読んでみてください。
手法を比べて自分に合うものを選びたい場合は、フレームワークの選び方ガイドも参考になります。
ひとりKPTのやり方|一人だからこそぶつかる2つの壁
ひとりKPTのやり方そのものは、とてもシンプルです。チームのように無記名や進行役を気にする必要はなく、テンプレートに沿って自分でKeep・Problem・Tryを書くだけ。私は週に1回のペースでやっていました。
ただ、一人で続けてみて初めて見えた「壁」があります。やり方より、むしろここが大事なので、正直に共有します(基本の進め方は次章で詳しく解説します)。
ひとりKPTでぶつかった2つの壁
私が3ヶ月ひとりKPTを続けて、はっきり感じた壁は2つでした。
壁①:振り返り作業そのものが煩わしい
チームなら他の人の発言が刺激になりますが、一人だと黙々と自分の頭の中を書き出すだけです。
これが地味に負担で、忙しい週ほど「今週はいいか」と後回しになりがちでした。
壁②:同じProblemが残り続ける
例えば私は、何週にもわたって「午後から夕方にかけて集中力が落ちる」をProblemに書き続けました。
Tryで「時間配分を変える」と決めても、根っこが体質や生活リズムの問題だと、翌週もまた同じProblemが顔を出します。
KPTのTryで解ける問題と、解けない問題がある——これが一人でやって一番痛感したことです。
一人だと、その「解けない問題」に別の角度から切り込んでくれる相手もいないので、堂々巡りになりやすいのです。
ただ、悪いことばかりではありません。先延ばしになりがちなタスクが毎週見えるのは、大きな収穫でした。放っておくと埋もれてしまう「後回しにしがちな作業」が、Problemとして毎週きちんと可視化される。これだけは、ひとりKPTの確かな効果だったと感じています。
GeminiでひとりKPTを軽くする(そして、その限界)
一人の煩わしさを少しでも減らすために、私はAIを使っていました。
具体的には、Amplenoteのノートに書いたKPTをGeminiに読み込ませて、「このTryで合っているか」「どれを優先すべきか」を確認していたのです。
効果はありました。Tryがいくつも出たときに、Geminiに優先順位をつけてもらうと「今週はこれにフォーカスする」が一目で決まります。実際、私が書いていたTryには、毎回「フォーカス」のような優先タグが付いていました。
ただ、ここでも正直に書きます。
AIは整理は得意でも、書く負担そのものは減らしてくれませんでした。
むしろ整理がクリアになる分、「次はこれも入力しておこう」と書くことがかえって増えていく感覚すらありました。AIは思考の整理には強力ですが、振り返りを続ける行動までは代わってくれない、というのが実感です。この「AIで軽くしてもなお重い」という感覚は、後で触れる”やめた理由”にもつながっていきます。
KPTの進め方|ひとりなら1回10分の4ステップ
KPTの基本の進め方は、①準備→②Keep・Problemを書き出す→③Tryを決める→④前回を確認して次へ、の4ステップです。一人でやるなら、慣れれば1回10分ほどで回せます。まずは全体の流れと時間の目安をつかんでおきましょう。
| ステップ | やること | 時間の目安 |
|---|---|---|
| ① 準備 | 何のために振り返るかを意識し、テンプレートを開く | 1分 |
| ② Keep・Problemを書き出す | よかったこと・困ったことを思いつくまま書く | 4分 |
| ③ Tryを決める | 課題に対して「次にやること」を具体化する | 3分 |
| ④ 前回を確認して次へ | 前回のTryができたかを振り返り、次回に持ち越す | 2分 |
ステップ1:目的を決めて、書く場所を用意する
最初に、「何のために振り返るのか」を軽く意識しておきます。一人だと目的が曖昧なまま惰性になりやすいので、「来週の自分の動き方を整えるため」くらいの一言で十分です。あわせて、書く場所を決めておきましょう。私はAmplenoteにKPTのテンプレートを用意して、毎回そこに書き込んでいました。書く場所が固定されていると、迷わず始められます。
ステップ2:Keep・Problemを書き出す
次に、その週のKeep(よかったこと)とProblem(困ったこと)を書き出します。ここは質より量を優先し、思いついたことを制限なく書くのがコツです。きれいにまとめようとすると手が止まるので、まずは並べることを優先します。Keepを先に書くと気持ちが前向きになり、Problemも責める調子ではなく「次にどう変えるか」で扱いやすくなります。
ステップ3:Tryを決める
KeepとProblemを踏まえて、「ではどうするか」を決めるのがTryです。一人KPTで大事なのは、Tryを「自分が・いつまでに・何をするか」まで具体化すること。「気をつける」「もっと意識する」では、ほぼ確実に実行されません。たとえば私は「Notionの学習を1日1時間する」「研修を今週中に終える」のように、行動と期限をセットにして書いていました。Tryは欲張らず、1〜2個に絞るのがちょうどいいバランスです。
ステップ4:前回のTryを確認して、次回につなぐ
KPTは1回で終わらせず、サイクルとして回すことに意味があります。次回の冒頭で前回のTryを見返し、「できたか・できなかったか」を確認しましょう。チームと違って一人だと、誰もTryの実施を気にかけてくれません。だからこそ、この「前回の確認」を自分で習慣にできるかが、ひとりKPTが続くかどうかの分かれ目になります。できなかったTryは、無理に責めず次回に持ち越せば十分です。
KPTの具体例|私が実際に書いた週次レビュー1回分
実際に書いた1枚には、ひとりKPTの収穫と限界が同居しています。企業メディアの解説には決して載らない、フリーランスである私の生のKeep・Problem・Tryを公開しながら、3ヶ月続けて見えたことを正直にお伝えします。
実際に書いた一週分のKeep・Problem・Try
私が毎週日曜の夕方、Amplenoteで10分ほどかけて書いていた週次レビューの一週分です。固有名詞と数字は少しぼかしていますが、構造はそのまま残しています。
| 要素 | 実際に書いた内容(一週分・一部ぼかし) |
|---|---|
| Keep | 研修中の案件が確定した/Xのフォロワーが伸び始めた(目標を達成)/ブログの執筆ペースが上がってきた/新しいAIツールが使えるようになった/毎日のタスクログが継続できた/新規事業のアイデアを思いついた |
| Problem | 案件を始めるまでに時間がかかってしまった/X運用が楽しくて時間を使いすぎた/午後から夕方の集中力が続かない/研修動画の視聴を後回しにしがちだった |
| Try | 研修動画を進めて案件を今週中にスタートする/新ツールの学習を1日1時間する/X運用を1日1時間に絞り、投稿内容を試行錯誤する |
Keepが6つ、Problemが4つ、Tryが3つ。動きの多い週ほど書く量は増え、10分があっという間に埋まります。Keepから書けば前向きにはなれますが、この情報量を毎週さばく負担が、続けるうちにじわじわ効いてきました。
Tryで動かせない問題と、毎週の堂々巡り
目が留まるのはProblemの3つ目、午後から夕方の集中力です。これは前の週もその前も書いていた、私の定番でした。Tryで時間配分を変えても、翌週にはまた同じ行が並びます。
意外だったのは、真面目にやるほど解けない問題が浮き彫りになることでした。集中力の波のような体質や生活リズムに根ざした課題は、来週試すを何度繰り返しても消えません。Tryで動かせる問題と、動かせない問題がある。一人で続けて初めて腹に落ちた事実です。
先延ばしの可視化という収穫
一方、研修動画の後回しのように、放置すれば埋もれるタスクは毎週きちんと表に出ました。Tryに書けば、翌週には着手できます。今振り返っても、この先延ばしの可視化はひとりKPTの確かな収穫でした。収穫と限界が、この1枚に同居しているのです。
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それでもKPTは無駄じゃなかった|やめた後に残ったもの
KPTをやめたことは、失敗ではありませんでした。3ヶ月で手放したあとも、振り返りで身についた視点はしっかり残り、今は別の形で毎日の仕事を支えています。やめた人間だからこそ言える、KPTで本当に得たものをお伝えします。
KPTをやめても残った、可視化する習慣
KPTを通して身についたのは、先延ばしや時間の使い方を可視化する習慣でした。漠然と過ぎていく一週間を、Keep・Problem・Tryという形で一度立ち止まって眺める。この立ち止まる視点だけは、KPT自体をやめても消えませんでした。
むしろ、3ヶ月続けたことで自分の思考に染み込んだ感覚があります。手法は手放しても、視点は資産として残る。これが、やめてみてわかったことです。
週次KPTから、毎日のタイムログへ
その可視化の視点は今、毎日の時間記録に形を変えています。私はClaudeで自作したChrome拡張で、今日の重要タスクと定常作業にかかった時間を、毎日記録しています。リサーチが1回22分かかっていると判明し、朝の時間配分を変えられたのも、この記録のおかげでした。
週に1回まとめて振り返るより、毎日軽く記録するほうが、ルーティンとインプットの多い私には合っていました。完璧な手法より、自分が続けられる仕組み。これが、3ヶ月のひとりKPTがくれた答えです。日々の記録の仕組みは、タスクシュートを使った毎日の時間管理で詳しく書いています。
ツール・テンプレートでKPTを仕組み化する
KPTを続けるなら、記録と振り返りがしやすいツールを一つ決めておくと負担が減ります。個人ならノートとタスクが連携するツールが最も実行につながりやすく、まず試すだけなら無料のスプレッドシートで十分です。目的に合わせて選べるよう、主要ツールとテンプレートを整理します。
KPTに使える主要ツール比較
KPTでよく使われるツールを、個人での使いやすさを中心に比較しました。どれが正解ということはなく、自分の目的に合うものを選ぶのがポイントです。
| ツール | 特徴 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| Amplenote | ノートとタスクが連携する | Tryを実行まで管理したい個人 |
| Notion | テンプレートが豊富で記録を蓄積できる | 振り返りを一元管理したい人 |
| Googleスプレッドシート | 無料で、すぐに始められる | まず手軽に試したい人 |
| Miro | 付箋を視覚的に配置できる | オンラインでチームと共有したいとき |
| Excel | オフラインで完結し、自作しやすい | ネット環境に依存したくない人 |
私はKPTにAmplenoteを使っていました。
ノートとタスクが連携するので、Tryをそのまま実行に移しやすいのが理由です。
KPT自体はやめましたが、今もメインのノートとして使い続けています。気になる方はAmplenoteから無料で試せます。
そのまま使える個人用テンプレート
テンプレートに複雑なものは要りません。ノートやスプレッドシートに次の3つの見出しを作り、各項目を数行ずつ書くだけで十分です。
- 今週のKeep(続けたいこと)
- 今週のProblem(課題・困ったこと)
- 今週のTry(次に試すこと/自分が・いつまでに)
ポイントは、Tryの見出しに「自分が・いつまでに」を入れておくことです。書く場所が毎回同じだと迷わず始められます。チームや1on1で使う場合の形式は、次の章でまとめます。
チーム・1on1でKPTを使うときのコツ
KPTはもともとチームの振り返り手法として広まったもので、複数人で使うときは個人とは少しコツが変わります。鍵は、Problemを人ではなく事実に向けること。ここでは、チームと1on1で使う場合の要点だけを簡潔にまとめます。
チームでKPTを使うときのコツ
チームで使う最大のポイントは、Problemを人ではなく事実に向けることです。誰かを責める場ではなく、仕組みを良くする場だと最初に共有しておくと、率直な意見が出やすくなります。
Keepでメンバーの貢献を可視化すれば、承認にもつながります。Tryはチーム全体のものと個人のものに分け、次回のミーティングで必ず実施状況を確認しましょう。無記名の付箋やツールを使うと、立場に関係なく意見を出しやすくなります。
1on1でKPTを使うときのコツ
1on1では、KPTを部下の内省を引き出す道具として使えます。上司が答えを与えるのではなく、本人の言葉でKeepとProblemを出してもらい、Tryへ一緒に落とし込むのがコツです。
若手にとっては、学びと課題を言語化すること自体が成長実感につながります。Tryには上司側のアクションもセットにすると、対話が一方通行になりません。
KPT法に関するよくある質問(FAQ)
KPTについて解説しきれなかった情報のなかでよくある質問について解説します。
KPTの読み方は?
KPTはケプト、もしくはケーピーティーと読みます。Keep・Problem・Tryの頭文字をつなげた呼び方です。
検索で見かけるKTPは打ち間違いで、指している手法は同じものです。順番もKeep→Problem→Tryで固定です。
ひとりでKPTを続けるコツは?
Tryをタスク化し、頻度を無理のない範囲に保つことです。
私は週1で3ヶ月続けましたが、振り返る項目が増えると負担になり、やめました。続けるなら、Tryに期限をつけてタスクとして管理し、重いと感じたら隔週に落とすなど、自分のリズムに合わせるのが現実的です。
KPTは毎日と毎週、どちらがいい?
多くの人には週1がおすすめですが、仕事のタイプで変わります。
毎日だと負担が大きく、週1なら一週間の流れを落ち着いて見渡せるからです。ただし私の場合、インプットや動きが多く週次でも重く感じ、最終的に毎日の軽い記録へ切り替えました。じっくり振り返りたいなら週1、軽く回したいなら毎日の短い記録が向いています。
KPTとPDCA・YWTの違いは?
その場で改善を整理するのがKPT、計画の検証がPDCAです。KPTは続けること・やめること・試すことをその場で整理し、PDCAは立てた計画の達成度を検証します。YWTは経験からの学びを言語化する手法です。3つの違いは、本記事のKPT法とは?の章にある比較表で整理しています。
KPTにおすすめのツール・アプリは?
まず試すなら無料のスプレッドシート、実行まで管理するならノート系が向きます。
手軽さ重視ならGoogleスプレッドシート、Tryをタスクとして追いたいならAmplenoteやNotionが便利だからです。私はノートとタスクが連携するAmplenoteを使っていました。
Tryが多くて実行できないときは?
Tryは1〜2個に絞り、優先順位をつけるのが鉄則です。全部やろうとすると中途半端になり、変化を実感できなくなります。出たTryに優先順位をつけ、今回はこれだけと決めて、残りは次回のKPTで選び直すくらいがちょうどいいバランスです。
まとめ|KPTはひとりの振り返る力を育てる入り口
KPT法は、Keep・Problem・Tryの3つを書き分けるだけのシンプルな振り返りです。ただし個人で続くかは仕事のタイプ次第で、私自身は週1で3ヶ月続けてやめました。それでも、KPTで身についた可視化の視点は、今も毎日の記録に生きています。完璧な手法を続けるより、自分に合った仕組みを見つけるほうが大切です。まずは気軽に試して、合わなければ頻度を変えればいい。KPTは、そんなひとりの振り返る力を育てる入り口です。
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- フレームワークとは?場面別の種類一覧と、迷わない選び方ガイド
最終更新:2026年6月13日
道具を増やしても、片づかないと感じたら
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