データ復旧は、状況に合った方法を選ぶことで成功率と安全性が大きく変わります。

この章では、自力でできる方法から専門業者の活用まで、適切な復旧方法の選び方を解説します。

自力で復元できる方法一覧

削除されたファイルでも、一定条件を満たせば自分の手で復元できるケースがあります。
代表的な手段は以下のとおりです。

• ゴミ箱から復元する（PCに残っていれば即時復元可能）
• 「以前のバージョン」に戻す（Windowsのファイル履歴）
• Macの「Time Machine」を使う（自動バックアップ済であれば有効）
• クラウドサービスの履歴を使う（例：pCloud、Google Driveなど）

これらはいずれも、比較的簡単に復旧できる手段です。
そのため、PC初心者でも手順通りに操作すればデータを取り戻せる可能性があります。

ただし、これらの方法が有効なのは「上書きされていない」「設定が有効だった」場合に限られます。
そのため、次項で紹介するソフトやクラウドの選び方と併せて検討することが重要です。

データ復元ソフトの使い方と注意点

ごみ箱や履歴から復元できなかった場合には、データ復元ソフトを使う選択肢があります。
代表的なものとしては以下のようなソフトが挙げられます。

• EaseUS Data Recovery Wizard（Windows/Mac対応）
• Wondershare Recoverit（対応フォーマットが多い）
• Recuva（無料で使える軽量ソフト）

復元ソフトは、削除済みのファイルをディスク上からスキャンし、復元可能なデータをリストアップしてくれるものです。
しかし、操作を誤ると「復旧できたようでできていない」「破損データが上書きされる」などのリスクもあるため、必ず以下のポイントに注意する必要があります。

• ソフトは別のドライブにインストールすること（上書き防止）
• 無料版と有料版の違いを理解すること（復元可能容量やサポート範囲など）
• スキャン結果を過信しすぎないこと（一覧表示されても復元できるとは限りません）

公式情報に加え、口コミや比較レビューを確認することで信頼度を判断しましょう。

クラウドストレージからの復元機能

近年は、クラウドストレージを活用したデータ復旧も主流です。
特にpCloudのように、「ファイルの履歴を30日間保存」「ゴミ箱機能あり」「暗号化対応」といった特長を持つサービスでは、
クラウド上から過去のバージョンを簡単に復元できます。

pCloudの復旧関連機能：

DropboxやGoogle Driveにも類似機能はありますが、pCloudはファイルの完全性と履歴の操作性に優れている点が特徴です。

クラウドを使うことで、復元可能な状態を常に作っておくことができます。

専門業者に依頼すべきケースとは

自力での復元が難しい、あるいはリスクが高いと判断される場合は、
迷わず専門のデータ復旧業者に相談することを検討すべきです。

以下のようなケースでは、プロの手を借りないと復旧が難しいです。

• 物理破損：外付けHDDやUSBの落下、水濡れ
• システム障害：RAID構成やNASが絡む複雑なシステム障害
• データ消失後の操作：データ消失後に大規模な操作
• 特殊な復旧：暗号化ファイルの復旧や特殊フォーマット対応

業者によっては診断無料型・成果報酬型などもありますが、費用は2万円〜10万円前後が相場です。
依頼時は、復旧成功率・復元範囲・機密保持契約の有無などを事前に確認することが大切です。

ケース別：最適な復旧法を選ぶフローチャート

データ復旧の正解は1つではありません。
状況に応じて、最適な選択肢が変わります。

以下のような観点で整理されたフローチャートを活用すると、判断の迷いを減らすことができます。

• 保存場所：ファイルのローカル、クラウド、外部メディアへの保存状況
• OSと使用ソフト：Mac、Windows、Adobe、Officeなどにおける環境
• 経過時間と操作状況：削除や破損からの経過時間とそれに伴う操作
• スキルと理解度：自身のスキルレベルとソフトウェアへの理解度
• 復元できなかった場合の影響：業務遅延や信頼失墜など