何を使ってデータを移すべきかは、パソコン買い替え時の大きな悩みの1つです。
クラウド、外付けストレージ、OSの標準機能など、それぞれにメリットと注意点があります。
この章では、代表的な方法を比較しながら、自分に合った選択肢を見つけるための視点を紹介します。

クラウドストレージの代表例と特徴

クラウドストレージは、インターネットを介してデータを保存・共有できる便利なサービスです。

代表的なサービスには以下のようなものがあります。

• pCloud：買い切りプランあり、ゼロ知識暗号による高いセキュリティ
• iCloud：Apple純正でMacやiPhoneとの連携に優れる
• Google Drive：Googleアカウントとの親和性が高く、無料でも容量十分
• OneDrive：Windowsに標準搭載されており、Microsoft製品との相性が良好
• Dropbox：古参の人気サービスで、共同作業や共有機能に強み
• Box：法人利用に特化した機能が豊富で、セキュリティ重視の企業向け

各サービスの強みや料金体系は異なるため、次の視点から比較してみましょう。

セキュリティで選ぶ

クラウド利用において、多くの人が気にするのが「第三者からの情報漏洩リスク」です。

この点で特に注目されているのが、pCloudのゼロ知識暗号（Zero-Knowledge Encryption）です。
データの暗号鍵を運営側が保持せず、利用者のみが復号可能な設計になっており、高い安全性が確保されています。

また、DropboxやGoogle Driveも二段階認証などを導入しており、個人利用レベルでのセキュリティは十分です。

法人利用の場合は、Boxのようにアクセス権限の細かな設定ができるサービスが有利になります。

自分の扱うデータの重要性に応じて、どこまでの保護レベルが必要かを考えることが重要です。

操作性で選ぶ

クラウドストレージは、使いやすさも大きな選定基準です。

iCloudはApple製品との親和性が高く、Mac・iPhone・iPad間で自動的に同期される仕組みになっているため、特別な設定が不要です。
一方、Google DriveやDropboxは、Webやスマホアプリからのアクセスも直感的で、共有機能にも優れています。

pCloudは初期設定こそやや専門的ですが、慣れればWeb上からの操作や同期フォルダの指定もスムーズに行えます。

WindowsユーザーにはOneDriveが標準搭載されているため、導入コストがかからず、シームレスに利用できる点が強みです。

「とにかく手間なく使いたい」人にはiCloudやOneDrive、「柔軟性や機能性を求める」人にはGoogle DriveやpCloudが選択肢になります。

外付けストレージを使うメリット・注意点

外付けストレージは、データを物理的に持ち運びたい人や、インターネット接続が不安定な環境で活躍します。

HDD（ハードディスク）は価格が安く、容量も大きめですが、衝撃や経年劣化に弱い傾向があります。
SSD（ソリッドステートドライブ）はHDDに比べて速度が速く、衝撃にも強いですが、やや高価です。

クラウドと異なり、通信の制限を受けずにデータを移行できる利点がある一方で、「物理的な紛失」や「破損」には注意が必要です。

また、データの最新状態を反映させるには、手動でバックアップ作業を行う必要があります。

オフラインでも扱える安心感は大きいですが、管理には手間がかかる点も理解しておきましょう。

OS標準の移行機能（Windows/Mac）

OSには、パソコンの引き継ぎをサポートする機能が標準で用意されています。

Macでは「移行アシスタント」を使えば、旧MacやTime Machineからデータ・アプリ・設定をまとめて新しいMacにコピーできます。
Windowsには「ファイル履歴」や「バックアップと復元」といった機能があり、特定のフォルダを自動保存・復元することが可能です。

OS標準機能の利点は、「追加ソフトなしで利用できること」と、「手順がシンプルなこと」です。

ただし、対応OSやバージョンの差異、移行対象の限定などには注意が必要です。

移行したいデータの範囲や、PC間のOS互換性をあらかじめ確認しておくと安心です。

どの方法が向いているかを見極める

【▼ThinkPrompt】

• 手間と安心、どちらを優先したいか？
• クラウドのセキュリティは自分にとって十分か？
• ネット接続なしでも使いたい場面があるか？

どの方法にも一長一短があり、万人向けの正解は存在しません。

自分が重視するのは、手軽さなのか、安全性なのか、コストなのか。
目的や使い方によって、選ぶべき手段は大きく異なります。

例えば、写真や動画を日常的に扱う人はクラウドとの自動同期が重要ですし、法人用途では機密性やチーム共有のしやすさが軸になります。

「何を移したいか」「どう使いたいか」の視点から、自分に合った方法を選ぶことが、後悔しない乗り換えにつながります。