「また先延ばしにしてしまった…」と、意図せず行動を後回しにし、後で自己嫌悪に陥ることは誰にでもあるかもしれません。
しかし、先延ばし癖はGTD(Getting Things Done)やタスクシュートといった具体的な手法と考え方を身につけることで、着実に克服していくことが可能です。
この記事では、まず先延ばしをしてしまう根本的な原因を脳の仕組みや心理的な側面から解説します。
その上で、先延ばし対策に効果的なGTDとタスクシュートの基本的な考え方と、それらを日々の生活に活かすための10の実践テクニックを具体的に紹介します。
さらに、ご自身の先延ばしタイプに合わせたアプローチや、どうしても改善が難しい場合の専門家への相談、そして実践を助けるおすすめのタスク管理アプリについても触れていきます。
この記事を読み終える頃には、先延ばし癖を乗り越え、より充実した毎日を送るための具体的な道筋が見えているでしょう。
先延ばし行動を克服するためには、まずなぜそのような行動を取ってしまうのか、その背景にあるメカニズムを理解することが大切です。
ここでは、脳科学・心理学・行動経済学の視点から、先延ばしの主な原因を探り、ご自身の傾向を把握するためのタイプ別診断も行います。
脳が不快を避ける仕組み=脳の報酬システムと先延ばし行動の関係
人間の脳は、本能的に快楽を求め、不快な状況を避けようとする性質を持っています。
難しいタスクや面倒だと感じる作業に直面すると、脳はそれを不快と認識し、回避しようとします。
その結果、ついスマートフォンを触ったり、他の簡単な作業に手を出したりといった先延ばし行動が生まれるのです。
脳科学的に見ると、計画や自制を司る前頭前皮質の働きよりも、短期的な快楽を優先する側坐核の活動が優位になることで、先延ばしが起こりやすいと言われています。
また、神経伝達物質であるドーパミンも関与しており、将来の大きな報酬よりも目先の小さな快楽に反応しやすくすることが、この傾向を助長します。
心がブレーキをかける:完璧主義や失敗への恐れ(心理的要因)
先延ばし癖には、心理的な要因も深く関わっています。
先延ばしを招く代表的なものは完璧主義です。
最初から完璧な成果を求めすぎると、プレッシャーで手が進まなくなり、結果的に先延ばしにつながります。
また、過去の失敗体験からくる失敗への恐怖や、自分に対する自信のなさである自己肯定感の低さも、新しい挑戦や困難なタスクへの取り組みを妨げる大きな要因となりがちです。
これらは無意識の上に自分の行動にブレーキをかけている場合が少なくないため、意識して目を向けてみましょう。
目先の誘惑に負ける罠:時間割引と損失回避(行動経済学的要因)
行動経済学の観点からも、先延ばし行動のメカニズムを説明できます。
一つは時間割引という心理効果です。
これは、将来得られる大きな報酬よりも、たとえ小さくてもすぐに手に入る目の前の報酬を過大評価してしまう傾向を指します。
目の前のタスクを片付けることで得られる達成感(将来の報酬)よりも、SNSをチェックするなどの瞬間的な楽しみ(現在の報酬)を優先してしまうのは、このためです。
また、損失回避という、何かを得る喜びよりも失う苦痛を強く感じる心理も影響します。
失敗する可能性のあるタスクに取り組むことは、時間や労力を失うリスクを伴うため、無意識にそれを避けようとしてしまうのです。
3つの先延ばし癖パターン診断|3つのタイプ
先延ばし癖と一口に言っても、その現れ方や背景にある心理は人それぞれです。
ここでは代表的な3つのタイプを紹介します。
ご自身がどのタイプに近いかを知ることで、より効果的な対策を見つける手助けになるでしょう。
タイプ名 | 特徴 | 行動パターン | 思考パターン例 | 具体例 |
---|---|---|---|---|
失敗回避型(エディタイプ) | どうせ失敗すると考えがち | タスクを始める前に諦めてしまうことが多い | 「自分には無理だ」「やっても意味がない」 | 学生が試験勉強を始める前に「どうせ良い点は取れない」と決めつけてしまう |
無気力・退屈型(バレリーナタイプ) | 興味のないタスクに対してモチベーションを感じにくい | 楽しいこと(SNSやゲームなど)に逃避しがち | 「こんなことやっても面白くない」「もっと楽しいことをしたい」 | 会社員が退屈なデータ入力を後回しにし、ついネットサーフィンをしてしまう |
衝動・楽観型(トムタイプ) | 短期的な快楽を優先しがち | 目の前の誘惑(スマホ、テレビなど)に流されやすい | 「今だけ少し休憩しよう」「後でやれば大丈夫」 | 主婦が家事を後回しにして、ついスマートフォンで動画を見始めてしまう |
これらのタイプはあくまで傾向であり、複数のタイプの特徴を併せ持つこともあります。
大切なのは、ご自身の行動や思考のパターンを客観的に把握することです。
先延ばし対策の新定番!GTDとタスクシュートの基本と考え方
このセクションでは、タスク管理や時間管理の手法として広く知られ、先延ばし対策にも非常に有効なGTD(Getting Things Done)とタスクシュートという2つのアプローチの基本的な考え方を紹介します。
GTDとは?頭の中を整理して行動を生み出す5ステップ
【タイプ別】先延ばし癖を克服する効果的な10個の方法
先延ばし癖を克服したいと思っても、「なかなか行動に移せない」「どの方法を試せば良いか分からない」という方もいるのではないでしょうか?
先延ばし癖の克服方法は、その原因やタイプによって異なります。
この章では、先延ばし癖の3つのタイプ別に効果的な10個の方法を紹介します。
それぞれのタイプの特徴に合った方法を試すことで、先延ばし癖から解放され、より充実した毎日を送ることができるでしょう。
タイプ | 特徴 | 具体的な方法 |
失敗すると決めつけるタイプ | 完璧主義、失敗への恐怖 | マインドフルネス、認知行動療法、過去の成功体験を振り返る、失敗を受け入れる |
課題が退屈なタイプ | 興味・関心のなさ、モチベーション不足 | 課題の意義や目的を見出す、ゲーミフィケーション、目標の細分化、ドーパミン分泌を促す |
誘惑に弱いタイプ | 自己制御能力の低さ、衝動性 | 環境コントロール、タイマーを活用する、セルフモニタリング、セルフコンパッション |
失敗すると決めつけるタイプの克服方法
「失敗すると決めつけるタイプ」の人は、過去の失敗体験やトラウマなどが原因で、新しいことに挑戦することに対して強い不安や恐怖を感じています。
そのため、まずは「失敗」に対する考え方を変えることが重要です。
- マインドフルネスを取り入れる
- 認知行動療法(CBT)を活用する
- 過去の成功体験を振り返る
- 失敗を受け入れる
これらの方法を実践することで、「失敗」に対する考え方を変え、積極的に行動できるようになるでしょう。
課題が退屈なタイプの克服方法
「課題が退屈なタイプ」の人は、目の前のタスクに興味や関心を持てず、やる気が起きないため、先延ばしをしてしまいがちです。
このタイプの人は、タスクに対するモチベーションを高める工夫や、集中力を維持するための環境づくりが重要になります。
- 課題の意義や目的を見出す
- ゲーミフィケーションを取り入れる
- 目標を細分化する
- ドーパミン分泌を促す
誘惑に弱いタイプの克服方法
「誘惑に弱いタイプ」の人は、目の前の誘惑に負けてしまい、なかなかタスクに集中することができません。
このタイプの人は、誘惑を遠ざける工夫や、集中力を高めるための方法を取り入れることが重要です。
- 環境コントロール
- タイマーを活用する
- セルフモニタリング
- セルフコンパッションを養う
- <独自>先延ばし癖克服のためのコミュニティ活用
- <独自>先延ばし癖を克服するための音楽の活用
これらの方法を参考に、自分に合ったやり方で先延ばし癖を克服し、充実した毎日を送れるようにしましょう。
タスクシュートとは?「今日できること」に集中する記録術
タスクシュートは、松崎氏によって提唱された、実績ログを重視するタスク管理・時間管理術です。
今日やるタスクと、それぞれのタスクにかかる見積もり時間をリストアップし、実行後に「実績時間」を記録していくのが基本です。
この手法のポイントは以下のとおりです。
全タスクのリスト化と見積もり時間の設定
まず、今日実行したいタスクを全てリストアップします。
そして、各タスクに対して、完了までにかかるであろう時間(=見積もり時間)を設定します。
これにより、一日の作業量や時間配分を具体的に把握できます。
実行と実績時間の記録
リストアップしたタスクを順番に実行し、完了したら実際にかかった時間(実績時間)を記録します。
見積もりと実績のズレを把握することが重要です。
ログを振り返り、現実的な計画へ
記録された実績ログを定期的に振り返ります。
これにより、自分の作業ペースや特定のタスクにかかる時間を客観的に把握でき、今後の計画をより現実的で達成可能なものに修正していくことができます。
タスクシュートは、タスクを細かく分割し、一つひとつ確実にこなしていくことで、達成感を得やすくし、先延ばしを防ぐ効果が期待できます。
タスクの細分化については、以下で詳しく解説しているので、興味のある方はご覧ください。
参考記事:【タスク細分化】生産性アップする具体的方法とおすすめツール
なぜGTDとタスクシュートが先延ばし癖に効くのか
GTDは、頭の中の雑多な情報を外部システムに預けることで、精神的な余裕を生み出し、今やるべきことに集中しやすくします。
何から手をつければよいか分からないという混乱状態からの脱却に非常に効果的です。
一方、タスクシュートは、タスクを具体的な行動レベルまで細分化し、実行と記録を繰り返すことで、現実的な計画性と達成感をもたらします。
目標を細かく設定して小さな成功体験を積み重ねることで、行動への抵抗感も小さくなるはずです。
GTDもタスクシュートも、先延ばしの原因となる心理的な負担や、タスクの曖昧さを取り除くのに役立ち、より計画的かつ積極的に行動できるようサポートしてくれるのです。
GTDとタスクシュートを活かす!先延ばし癖克服10の実践テクニック
GTDとタスクシュートの基本的な考え方を理解した上で、それらを日々の先延ばし癖克服に活かすための具体的な10個の実践テクニックを紹介します。
これらのテクニックを組み合わせることで、より効果的に行動を変えていくことができるでしょう。
まずは書き出す:頭の中のモヤモヤを収集する
やるべきこと、気になること、アイデアなど、頭の中にあるものを全て紙やアプリに書き出してみましょう。
これはGTDの収集のステップにあたります。
頭の中だけで管理しようとすると、忘れてしまったり、何から手をつければよいか混乱したりして、先延ばしの原因になります。
全てを書き出すことで、頭がスッキリし、客観的に状況を把握できるようになります。
小さく始める
大きなタスクや難しそうに感じる課題は、つい後回しにしがちです。
タスクシュートの考え方を参考に、そのようなタスクを具体的な行動レベルの小さなステップに分解しましょう。
例えば、「レポートを作成する」というタスクなら、「資料を集める」「構成案を作る」「序論を書く(最初の1パラグラフだけ)」のように細分化します。
一つひとつのステップが小さければ、心理的な抵抗感が減り、最初の一歩を踏み出しやすくなります。
ゴールを具体化する
何のためにそのタスクを行うのか、完了したらどんな状態になるのか、具体的な目標(ゴール)を明確にしましょう。
目標設定の際には、SMARTの法則(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性、Time-bound:期限付き)を意識すると効果的です。
明確なゴールは、タスクへの意味付けとなり、モチベーションを維持し、先延ばしを防ぐ力になります。
SMARTの法則について詳しく知りたい方は、以下で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
参考記事:【決定版】SMARTの法則 使い方マスター|5ステップで目標達成を現実に
誘惑を断ち切る
スマートフォンやSNS、周囲の騒音など、集中を妨げるものは先延ばしの大きな原因です。
作業に取り組む際には、これらの誘惑を物理的に遠ざけ、集中できる環境を作りましょう。
例えば、作業中はスマートフォンの通知をオフにする、静かな場所に移動する、整理整頓された机で作業する、といった工夫が考えられます。
自分にとっての集中できる聖域を意識的に確保することが重要です。
時間を区切る:ポモドーロテクニックなど
長時間集中し続けるのは困難です。
ポモドーロテクニック(例:25分作業+5分休憩を繰り返す)のように、タイマーを使って作業時間と休憩時間を区切ることで、集中力を維持しやすくなります。
短い時間でも集中して取り組むことで達成感が得られ、次の作業への意欲も湧いてきます。
GTDの実行ステップをスムーズに進めるためにも有効です。
ポモドーロテクニックは、以下の記事で詳しく解説しているので、詳しく知りたい方は参考にしてください。
参考記事:知らないと損?ポモドーロテクニックで劇的に変わる集中力と時間管理
公言効果を利用する
友人や同僚、家族などに「〇〇をいつまでにやる」と宣言してみましょう。
他者に伝えることで、適度な責任感が生まれ、「やらなければ」という意識が高まります。
SNSなどで目標を公表し、進捗を報告するのもよいでしょう。
ただし、過度なプレッシャーは逆効果になる場合もあるため、信頼できる相手を選ぶことが大切です。
完璧を目指さない
最初から完璧な成果を求めすぎると、なかなか手を付けられず、先延ばしにつながります。
特に失敗回避型の傾向がある方は、この点を意識することが重要です。
まずは「60点の出来でもよいから終わらせる」という意識で、完璧よりも完了を優先しましょう。
一度完了させてから、必要に応じて修正や改善を行えばよいのです。
頼れる相棒を見つける
GTDやタスクシュートを実践する上で、デジタルツールの活用は非常に有効です。
タスク管理アプリやノートアプリ、カレンダーアプリなどを組み合わせることで、GTDでいうところの信頼できるシステムを構築できます。
タスクの記録、リマインダー設定、進捗管理などが容易になり、先延ばしを防ぐのに役立ちます。
後の章で具体的なアプリも紹介します。
自分を労わる
集中して作業に取り組むためには、適切な休息も不可欠です。
疲労が蓄積すると、注意力も低下し、先延ばししやすくなります。
タスクシュートのように実績を記録する中で、自分の集中できる時間帯や疲労のサインを把握し、計画的に休憩を取り入れましょう。
また、GTDのレビューのように、定期的に自分の状態やタスク全体を見直す時間を持つことも、無理なく継続するためのポイントです。
小さな進捗を褒める
タスクを一つ完了したり、計画通りに進められたりしたら、どんなに小さなことでも自分自身を褒めてあげましょう。
「よくやった」「一歩進んだ」と認めることで、自己肯定感が高まり、次の行動へのモチベーションが生まれます。
先延ばし癖のある人は、自分に厳しい傾向があることも多いため、意識的に自分を褒める習慣をつけることが大切です。
【タイプ別】GTD・タスクシュートを活用した先延ばし克服アプローチ
3つの先延ばし癖タイプ別に、GTDやタスクシュートの考え方をどのように活用すればより効果的か、具体的なアプローチを紹介します。
ご自身のタイプに合わせて、取り入れやすいものから試してみてください。
失敗回避型(エディタイプ)の方の対応方法
失敗を極度に恐れ、行動をためらってしまう失敗回避型の方には、GTDのステップが心の負担を軽減するのに役立ちます。
まず、GTDの収集で頭の中にある不安やタスクを全て書き出します。
次に処理の段階で、「本当に失敗したらどうなるのか?」「最悪の事態は何か?」を具体的に考え、過度な不安を客観視します。
そして整理の段階で、タスクを具体的な行動レベルまで落とし込み、最初の一歩を極限まで小さくします。
「失敗しても大丈夫」「完璧でなくてもよい」と意識的に自分に言い聞かせながら、タスクシュート的に小さなタスクから着手し、「完了」させる経験を積むことが自信に繋がります。
無気力・退屈型(バレリーナタイプ)の方の対策
興味が持てないことや退屈な作業を先延ばしにしがちな無気力・退屈型の方には、タスクへの取り組み方を変えるアプローチが有効です。
タスクシュートの考え方を活用し、退屈なタスクをゲーム感覚で細かく分割し、一つひとつにかかる見積もり時間を短く設定します。
そして、クリアするたびに実績時間を記録し、小さな達成感を積み重ねます。
GTDの処理やレビューの際に、そのタスクが持つ本当の目的や意義を再確認し、大きな目標との繋がりを見出すこともモチベーション維持に役立ちます。
作業環境を変えたり、好きな音楽を聴きながら取り組んだりするといった工夫もよいでしょう。
衝動・楽観型(トムタイプ)の方の対策
目先の誘惑に弱く、「後でやればいい」と楽観的に考えてしまう衝動・楽観型の方には、現実を直視する仕組みが効果的です。
タスクシュートを実践し、日々のタスクの見積もり時間と実績時間を正直に記録し続けましょう。
思った以上に時間がかかっていることや、先延ばしにした結果、後で慌てているという現実がデータとして可視化されます。
GTDの「週次レビュー」の際に、この実績ログを振り返り、「本当に後でやれば大丈夫だったか?」「誘惑に負けた時間はどれくらいあったか?」を客観的に評価します。
この振り返りを通じて、時間感覚のズレを修正し、より現実的な計画を立てられるようになることを目指します。
それでも改善が難しい?専門家と考える深刻な先延ばしとADHD
多くの先延ばし癖は、これまで紹介したような意識改革やテクニックの実践で改善が期待できます。
しかし、ご自身での努力だけではなかなか改善が見られない、あるいは日常生活や社会生活に大きな支障が出ている場合は、専門家のサポートを検討することも一つの大切な選択肢です。
ここでは、深刻な先延ばし癖と、その背景にある可能性の一つであるADHD(注意欠如・多動症)について解説します。
深刻な先延ばしとADHD(注意欠如・多動症)の可能性
ADHDは、不注意(集中力や注意力の持続が難しい)、多動性(落ち着きがない)、衝動性(考えずに行動してしまう)といった特性が現れる発達障害の一つです。
これらの特性が、計画性の欠如、タスクの開始困難、作業の持続困難、優先順位付けの苦手さといった形で現れ、結果として慢性的な先延ばし行動につながることがあります。
ADHDの主な特性と先延ばしへの影響
ADHDの特性を持つ方は、脳の実行機能(計画、段取り、自己監視、時間管理など)に関連する部分の働きが定型発達の方と異なる場合があるといわれています。
そのため、興味のないことへの集中を持続させたり、複数のタスクを効率的に処理したりすることが苦手な傾向があります。
これが、「やらなければいけない」と分かっていても行動に移せない、という状況を生み出しやすいのです。
気になる方向けの簡易セルフチェックリスト
以下は、ADHDの特性として挙げられることの多い項目です。
あくまで参考情報であり、診断に代わるものではありません。
複数の項目に長期間当てはまり、生活に支障を感じる場合は専門機関への相談を検討しましょう。
- ケアレスミスの多さ、細部への注意困難
- 集中力持続の困難さと、すぐに気が散る点
- 忘れ物や物をなくすことが多い点
- 作業や活動を順序立てて行うことへの苦手意識
- じっとしていることへの苦手意識と、そわそわしてしまう点
- 思ったことや行動をすぐ口に出したり移したりしてしまう衝動性
- 順番を待つことへの苦手意識
(注意喚起)自己判断せず専門機関へ相談を
ADHDの診断は、医師などの専門家が面談や心理検査などを通じて総合的に行うものです。
自己判断で「自分はADHDだ」と決めつけたり、逆に「ADHDではないから大丈夫」と問題を軽視したりせず、心配な場合は必ず専門機関に相談しましょう。
専門家への相談という選択肢:カウンセリングや医療機関
深刻な先延ばし癖やADHDの疑いがある場合、専門家のサポートを受けることで、問題の理解を深め、具体的な対処法を見つけることができます。
カウンセラーやコーチに相談するメリット
臨床心理士や公認心理師などのカウンセラー、あるいはコーチングの専門家は、先延ばし癖の背景にある心理的な要因(完璧主義、失敗への恐れ、自己肯定感の低さなど)に焦点を当てたサポートを提供してくれます。
認知行動療法(CBT)などの手法を用いて、不適切な思考パターンや行動習慣を修正し、より建設的な行動を取れるように支援します。
GTDやタスクシュートのような具体的なタスク管理手法の導入や習慣化をサポートしてくれる場合もあります。
精神科医による診断と治療(薬物療法・行動療法など)
精神科医は、ADHDの正式な診断を行うことができます。
診断の結果、ADHDと判断された場合、薬物療法(例:コンサータ、ストラテラなど)や行動療法、心理社会的治療などを組み合わせた治療計画が立てられます。
薬物療法は、不注意や多動性・衝動性といった中核症状を緩和し、日常生活や社会生活での困難を軽減する効果が期待期待できますが、副作用のリスクもあるため、医師の指示に従いましょう。
オンライン診療の活用方法
近年では、精神科やカウンセリングにおいてもオンライン診療が普及してきています。
「近くに専門機関がない」「忙しくて通院の時間が取れない」といった場合でも、自宅から気軽に専門家の診察やカウンセリングを受けることが可能です。
多くのオンライン診療プラットフォームが存在しますので、情報を集めてみるのもよいでしょう。
周囲の理解とサポートを得るためにできること
先延ばし癖やADHDの困難を抱えている場合、家族や友人、職場の同僚など、周囲の人の理解とサポートは非常に大きな力になります。
ご自身の状況や困りごとを正直に伝え、どのようなサポートがあれば助かるのかを具体的に話し合ってみましょう。
例えば、タスクの進捗を気にかけてもらう、集中できる環境づくりに協力してもらう、といったことが考えられます。
一人で抱え込まず、信頼できる人に頼ることも大切です。
先延ばし癖克服を加速する!おすすめGTD・タスク管理アプリ3選
ここでは、先延ばし癖の克服と生産性向上を助ける、おすすめのアプリを3つ厳選して紹介します。
ご自身の使い方や好みに合わせて、最適なツールを見つける参考にしてください。
【万能型】Amplenote:GTDとノート機能を強力に統合
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料金(2025年5月時点) |
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特徴とGTD的活用ポイント
Amplenoteは、ノート、タスク管理、カレンダー機能を一つのプラットフォームに統合したアプリです。
GTDの収集ステップで書き出したアイデアやタスクを、そのままノート内で管理し、必要に応じて具体的なタスクに落とし込むことができます。
ノート間の双方向リンク機能は、プロジェクトや関連情報を整理し、相互に結びつけるのに役立ちます。
独自の「タスクスコア」機能は、GTDの処理やレビューの際に、タスクの重要度や緊急度を客観的に評価し、何を実行すべきか判断する助けとなります。
Markdownベースのエディタは軽快で、思考を妨げません。
こんな人におすすめ
- GTDを本格的に実践したいユーザー
- ノートとタスクをシームレスに連携させ、アイデアから実行までを一元管理したいユーザー
- 日々の記録をタスクシュート的に行い、そこからGTDのレビューにつなげたいユーザー
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【シンプルタスク管理】Todoist:GTDの「収集」「整理」をサポート
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料金(2025年5月時点) |
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特徴とGTD的活用ポイント
Todoistは、そのシンプルさと使いやすさで世界的に人気のタスク管理アプリです。
GTDの収集フェーズで思いついたタスクを、素早くインボックスに追加できます。
プロジェクトやラベル、優先度設定といった機能は、タスクを整理し、状況に合わせて分類するのに役立ちます。
繰り返しタスクの設定やリマインダー機能は、GTDのレビューを習慣化し、タスクの抜け漏れを防ぐのに貢献します。
自然言語入力(例:「毎週月曜9時に会議の準備」と入力すると自動でタスク設定)も便利です。
こんな人におすすめ
- シンプルで直感的に使えるタスク管理ツールを求めているニーズ
- GTDの基本である「タスクのリスト化」と「リマインダー」を確実に実践したいユーザー
- 複数のデバイスでタスクを同期し、どこでも確認・更新したいユーザー
【視覚的思考整理】Heptabase:GTDのアイデア整理を強化
項目 | 内容 |
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料金(2025年5月時点) |
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特徴と活用ポイント
Heptabaseは、ホワイトボードのような無限のキャンバス上で、ノート(カード)やPDF、画像などを視覚的に配置し、それらをリンクで繋げながら思考を深めていくツールです。
GTDの収集で得た断片的なアイデアや情報をカードとして書き出し、それらを自由に動かしたり、関連付けたりすることで、プロジェクトの全体像を把握したり、複雑な情報を整理したりするのに役立ちます。
マインドマップやカンバンボードといった表示形式も利用可能で、アイデアのブレインストーミングやプロジェクトの進捗管理にも活用できます。
タスクシュート的に日々の学習記録やリサーチメモを視覚的に蓄積し、それらをGTDのレビューで見返すといった使い方も考えられます。
こんな人におすすめ
- 文章だけでなく、図やマインドマップなど視覚的要素で思考を整理したいユーザー
- 複雑なリサーチプロジェクトや学習内容を、関連性を意識し体系的にまとめたいユーザー
- 従来のフォルダ構造の整理方法に限界を感じているユーザー
まとめ:GTDとタスクシュートで「先延ばし癖」にさよならを!
「あとでやろう」と行動を先延ばしにしてしまう癖は、誰にでも起こりうることです。
しかし、それは意志の弱さだけの問題ではなく、脳の仕組みや心理的な要因、そしてタスクの捉え方や進め方に原因がある場合も少なくありません。
この記事では、先延ばし癖の根本的な原因を探り、その対策として効果的なGTDとタスクシュートという2つの手法の基本的な考え方と、それらを日々の生活に活かすための具体的なテクニックを紹介しました。
GTDで頭の中をスッキリと整理し、タスクシュートで着実な一歩を踏み出す習慣を身につけることは、先延ばし癖克服の大きな助けとなるでしょう。
今日からできることは、まずGTDの「収集」を参考に、頭の中にある「やらなければいけないこと」「気になっていること」を紙やアプリに全て書き出してみることです。
そして、その中から一つでもタスクシュート的に「今日やる小さなこと」を決めて実行し、記録してみてください。
その小さな一歩が、先延ばし癖という大きな壁を乗り越えるための、確かな力となるはずです。