Webライティングのレギュレーション|Web担当者が設定すべきルール
インターネットに記事を公開する場合には、一定表記ルールがあります。
ルールに従って書かれた記事はとても読みやすく、集客につながりますが、ルールに従って書かれていない記事は読者の離脱を招きます。
一般的にインターネットの読者は、非常にシビアです。
企業がWebライターに記事の執筆を依頼する際には、ルールをどこまで明文化して共有化すべきかという問題が生じます。
明文化したルールのことを「レギュレーション」といいますが、レギュレーションの設定は意外と難しいものです。
この記事では、Webライター歴4年・ディレクション歴1年の私が、プロのWebライターの目線でWebライティングのルール・レギュレーションについて解説します。
オウンドメディアのブログ記事などの外注を検討されているWeb担当者様はぜひ参考にしてください。
Webライティングにおけるルールとレギュレーションの考え方
Webライティングにおけるルールは、以下の3つに分類されます。
- 一般的なルールであるため特に明文化する必要のないもの
- 一般的なルールではあるものの重要性が高いために明文化すべきもの
- 投稿するコンテンツによって解釈が異なるため、明文化した方がよいもの
Webライティングを依頼する際に、依頼者側が指定するルールのことをレギュレーションといいますが、Web担当者がレギュレーションを適切に設定することにより一定の記事の品質が守られる可能性が高まります。
文章表現や言い回しについてあらかじめレギュレーションを設定しておくと、修正業務を最小限に抑えられます。ただし、レギュレーションを細かくしすぎると、ライター側に大きな負荷がかかるだけでなくチェックも大変になるため、必ずしも細かく設定することがよい結果につながるとは限りません。
だからこそ、Web担当者がライティングのルールを把握して、適切なレギュレーションを設定することが重要です。
Webライティングの一般的なルール|レギュレーションの指定の必要なし
インターネット上に記事を投稿する際の基本ルールを最初に解説します。
事実に基づいている
事実に反する内容をインターネット上で公開すると、企業の評判が下がり逆ブランディングになります。
不正確な情報や強い偏見が含まれている記事は無条件にNGです。
また、社名・商品名・サービス名称などの固有名詞に誤りがあると、記事の信頼性が大きく低下するため慎重にチェックしましょう。
専門性の高い記事やニッチな業界のコンテンツに関しては、ライターがインターネットなどから情報を集めにくいことが想定されることもあるでしょう。その場合は、クライアント側からライターに対して積極的に情報提供をおこない、記事の専門性・独自性を高めましょう。
結論ファースト
インターネットのコンテンツを読むとき、読者は一瞬で有益であるか否かを判断します。だからこそ、記事の結論はできるかぎり早く提示する必要があります。
Webライティングでは、「PREP法」が基本的な型です。
- Point(要点・結論)
- Reason(理由)
- Example(具体例)
- Point(要点)
最初に結論が提示されていないと、多くのユーザーが知りたい答えの回答を探すために別のサイトに流れてしまいます。結果的に、競合サイトに顧客を奪われることになるでしょう。
読みやすい文章
読みにくい文章は、読者の離脱をにつながります。
読みにくい文章にはさまざまなパターンがありますが、特に多いのは以下に該当するケースです。
- 誤字・脱字が多い
- 主語と述語がねじれている
※例:私がFreePicという画像サイトをオススメする理由は、高品質な画像が低価格でダウンロードできます。→本来は「私がFreePicという画像サイトをオススメする理由は、高品質な画像が低価格でダウンロードできるためです」となるべき - 一文が短く簡潔にまとめられている(目安としては1文80文字以内が理想)
- 同じ語尾が3連続で繰り返されている(「…ます」の連続もしくは「…です」の連続)
読みやすい文章を書くことは、ライティングの基本中の基本です。
適切な言葉
単語や言い回しレベルで、企業の文章としてふさわしくない文章もあります。
いくつか具体例を紹介します。
- 略語(×ネット→〇インターネット・×駐禁→〇駐車禁止など。ただし「高校」「エアコン」など略語がすでに一般名詞として定着しているものはOK
- 若者言葉・話し言葉(「ヤバい」など)
- 業界の専門用語(ただし特定の業界の顧客を想定している場合には使用してもOK)
これらの文章として適切でない言葉を使用した場合には、記事の信頼性が低下することを覚えておきましょう。
Webライティングの重要事項|常識ではあるもののルールの明記が必要
明らかに常識の範囲内であっても、トラブル防止のために明文化しておいた方がよい内容のものもあります。
コピペNG
ほかのインターネットサイトからのコピペは、Webライティングにおいては非常に重要な問題です。なぜなら、文章のコピペが発覚した場合には、重大なトラブルに発展するリスクがあるためです。
- Googleからのペナルティにより、サイト評価が下がる(検索順位の低下)
- 転載元のサイト所有者から、著作権侵害で訴えられる
したがって、「コピペNG」ということは当然のことではあるものの明記しておく必要があります。
さらに、コピペ問題回避のためにはコピペチェックツールを使用することも効果的です。
参照サイトの指定・開示
インターネット上には誤った情報が溢れていますが、信頼できるソースから情報を得ることによってそのリスクを大きく軽減できます。
情報の信頼性の高さをグループ分けしたものが以下の表です。
信頼性 | 具体例 |
(高) | 政府の統計・大学などの学術機関の発表・地方自治体による情報・WHOや公益社団法人などの公的機関による情報・商品やサービスのオフィシャル情報 |
(中) | 一般企業のオウンドメディア・新聞社・マスメディア |
(低) | 個人ブログ・SNSの書き込み・インターネット掲示板・まとめサイトなど |
記事の信頼性を高めるには、信頼性の低いサイトは参照しないようにレギュレーションで明記したうえで、どのサイトを参照して記事を書いたのかを明示してもらうとよいでしょう。
文字数稼ぎ
報酬に関することはあらかじめていねいに記載しておきましょう。レギュレーションにおいて特に問題となるのが、文字数稼ぎの問題です。
実際に直面したことはありませんが、「1文字あたり〇円」といった料金体系で募集をしたときに、漢字を1文字も使用せずにすべてひらがなで納品したライターもいるそうです。
また、冗長な表現の文章は、読みづらいうえに内容も乏しく、コンテンツとしての価値がありません。
ほかに、記事とは全く関係のないことを記載して文字数を増やそうとされることもあります。
「文字数稼ぎのための冗長な言い回し・不自然な表現は認めません」とひと言記載を入れておくと、文字数稼ぎのトラブルは避けられます。
案件によってルールが異なる項目|Webライティングではレギュレーション必須
企業や記事を投稿するコンテンツによってルールが異なりやすい項目もあります。一般的に、この章で紹介する項目は、レギュレーションを設定した方がスムーズです。
また、そもそも記事の方向性が大きくズレてしまうと、発注意図とは異なる記事ができあがります。そのためには、発注意図やペルソナの設定なども効果的です。
トン・マナ
トン・マナとは、「トーン&マナー」の略語です。
簡単にいえば、文章の調子やテイストのことを指します。
BtoBの記事では、しっかりした文章が求められるため、「です・ます調」のやや堅めの文章が好まれる傾向があり、BtoCでは「~ですね」といったフレンドリーな文体がよく用いられます。
トン・マナについてのレギュレーションを簡単に説明しておかないと、企業向けの記事であるにもかかわらず個人ブログのテイストの記事が納品されることもあります。
通常は「です・ます調」が一般的です。
漢字・ひらがなのバランス
記事の執筆においては、漢字よりもひらがなの方が読みやすい語句が多数あります。また、漢字の割合が増えすぎると堅苦しい印象になるため、読者から「読みづらい」との印象を抱かれる懸念があります。
一般的に、ひらがなで表記した方が望ましい語句は以下のとおりです。
- △~する事→〇~すること
- △更に→〇さらに
- △丁度→〇ちょうど
漢字をどの程度ひらがなに開くべきかは、サイトのテイストや間隔による部分も大きいため、実はかなり難しい問題です。
さらに、リスト化すると分量が膨大になります。実際、私がライティングを担当した案件で、漢字・ひらがな表記リストが100項目以上指定されていたクライアント様もみえました。
したがって、レギュレーションで逐一指定をするよりも「既存の記事にあわせてください」といった表記にする程度の方がイメージしていただきやすいかもしれません。
ページごとに多少の変換のブレが生じたとしても特にデメリットが生じることはありません。ただ、あまりにも雰囲気が異なると、違和感につながるため、ライターに意識をしてもらうことは大切です。
また、サイト内の他の記事との間での細かい表記揺れは多少やむを得ない部分がありますが、同じページの中での表記揺れは読者の違和感につながります。したがって、同一記事内での表記揺れがNGであることもルール化しておきましょう。
また、漢字の使用率30%程度が最も読みやすい文章であるといわれます。目標値として設定してもよいでしょう。
表記ルール
表記ルールの具体例は以下のとおりです。
- 半角・全角(一般的な表記としては、カタカナ=全角/記号・数字=半角)
- 年号(西暦・和暦の統一)
- 単位
- 外来語(コンピュータorコンピューター・モッツァレラorモツァレラなど)
また、自社や業界で特殊な用語の使い方を使用しているケースなどもあらかじめライターに共有しておきましょう。
発注意図・ペルソナ
記事の方向性を誤らないためには、発注意図とペルソナの確認が効果的です。ペルソナとは、商品やサービスの典型的な購買層を意味するマーケティング用語です。
- どのようなユーザーをターゲットにしているのか?
- 記事によって読者に対してどのような行動や感情の変化を促したいのか?
- どの商品・サービスをどのようにプッシュしたいか?
これらをWebライターと共有することで、記事のブレは小さくなります。
なお、セールスライティングに長けたライターであれば記事の発注意図やペルソナについてはスムーズに共有できますが、意図の理解を苦手とするWebライターも少なくありません。
したがって、発注意図や商品・サービスの推奨の仕方はできるかぎり具体的に提示する必要があります。自社でうまく意図やターゲット層を言語化できない場合には、記事作成代行業者に外注する方法もオススメです。
記事作成代行業者では、専門のディレクターが記事作成の意図をヒアリングしてから記事の執筆に取りかかることが多いため、意図のズレは生じにくいです。
目安となる文字数
競合他社のサイトよりも情報を網羅し、有益なコンテンツとするためにも、ボリュームが膨らみすぎて冗長にならないようにするためにも、目安の文字数は必要です。
文字数の設定は、見出し・小見出しの設定数やキーワード調査によって目星をつけます。
発注方法としては、「3,000字程度」もしくは「3,000字以上」のいずれかの方法があります。また、規定の文字数の過不足について、文字数単位で報酬を決定する方法と記事単価として支払いする方法との2とおりがあります。
どちらが正しいというわけではありません。ただ、あらかじめ文字数や報酬体系を明記しておかないと、後にトラブル要因となるため注意しましょう。
ライティングのルール・レギュレーションのまとめ
Webライティングでの最適な文章は、コンテンツごとに異なります。
私自身これまでの4年間で3,000以上の記事を執筆してきましたが、ときにはクライアント様によってテイストが大きく異なることに困惑したこともありました。
依頼者側とライター側との食い違いを最小限に抑えるためには、一定のルールを設定しておくことが重要です。ルールが増えすぎて逆に負担が増えないように注意しながら、適切なレギュレーションを設定してください。
レギュレーションを設定したら、クラウドソーシングサイトなどで募集をかけましょう。その際に、テストライティングを実施することで、レギュレーションに沿って執筆できるライターを選定することも可能です。
テストライティングの方法については「テストライティングは必要?Web担当者がライターを見極める対策とは?」にて詳しく解説しているので、詳しく知りたい方はぜひチェックしてください。