pCloud Encryptionは必要か?いらない人と必要な人と買う前に知る弱点
pCloudにEncryptionを足すかどうか、迷っていませんか。
私は在宅ワーク歴約9年のWebマーケターで、2022年11月からpCloudの2TBプランを使っています。
仕事の原稿も写真も、ほぼすべてをpCloudに置いていますが、Encryptionは使っていません。
必要性を感じていなかったからです。
では、付けないと困るのはどんな人なのでしょうか。
分かれ目は、預けるファイルの中身と、情報漏洩がどこから起きるかの2つです。
pCloud Encryptionは、見られたら困るファイルを預ける人にだけ必要なオプションです。
- 写真や普段の仕事の書類だけなら、標準のpCloudの暗号化で足ります。
- ログイン用パスワードが漏れたときのCryptoフォルダの外のファイルや、端末のウイルス感染は、Encryptionでは守れません。
- 2024年に大学の研究者が弱点を指摘しており、運営会社まで疑うファイルは自分のパソコンで暗号化してから預けます。
最終更新:2026年10月17日
pCloud Encryptionが必要な人といらない人
pCloud Encryptionが必要かどうかは、預けるファイルを人に見られたら困るかどうかで決まります。
写真や普段の書類なら、標準のpCloudのままで困ることはほとんどありません。
そもそも標準のpCloudでも、保存したファイルはサーバー側で256ビットAESという方式で暗号化されています。
Encryptionはそれとは別に、自分のパソコンやスマホの中で暗号化してから送る仕組みで、鍵は自分だけが持ちます。
| 項目 | 標準のpCloud | pCloud Encryption |
|---|---|---|
| 暗号化する場所 | pCloudのサーバー(256ビットAES) | 自分の端末 |
| 鍵を持つ人 | 公式に明記なし | 自分だけ |
| pCloudからの閲覧 | 公式の約束なし | pCloudでもアクセスできないと公式が明記 |
| 他の人との共有 | 個人プランでもできる | 公式はBusiness向けの機能として紹介 |
| パスワードを忘れたとき | 再設定できる | 暗号化したファイルは戻らない |
| 料金 | ストレージのプランに含まれる | 別料金(ライフタイム$150など) |
表の右側の約束が必要になるのは、次のようなファイルを預ける人です。
- 運転免許証やマイナンバーカードなど、身分証の写し
- 契約書や確定申告の書類
- 取引先から、暗号化して保管するよう求められているデータ
反対に、写真や動画が中心の人、ファイルを人とよく共有する人、パスワードを覚えておく自信がない人には向きません。
迷ったら、上の3つに当てはまるファイルが手元に何種類あるかを数えてみてください。
1種類もなければ、Encryptionは後回しで大丈夫です。
Encryptionで防げる情報漏洩と防げない情報漏洩
Encryptionが守るのは、Cryptoフォルダ(暗号化専用のフォルダ)に入れたファイルの中身だけです。
情報漏洩のニュースを見て暗号化を足したくなったら、まずその漏洩がどこから起きたのかを確かめてください。
たとえば、pCloudのサーバーに不正アクセスがあり、ファイルが外に持ち出されたとします。
Encryptionで暗号化したファイルなら、鍵を開けるCrypto Passを自分しか知らないので、中身は読めません。
ただし、サーバーそのものが悪意を持った場合の弱点は、2024年に研究者が指摘しています。
一方で、次のような漏洩はEncryptionでは防げません。
- pCloudのログイン用パスワードが漏れて、Cryptoフォルダの外に置いたファイルを見られる
- 偽のログイン画面にパスワードを入力して、アカウントを乗っ取られる
- パソコンがウイルスに感染して、自分で開いたファイルを抜き取られる
どれも、入口が自分の側にある漏洩です。
Cryptoフォルダの外のファイルを守るのは、暗号化ではなく、ログインの守りと自分の端末の管理です。
サービスごとに別のパスワードを使い、パスワード管理ツールに覚えさせます。
pCloudのログインには、2段階認証を設定します。
私がEncryptionを付けずにpCloudを使っている理由
私はEncryptionを使わず、パスワード管理のpCloud Passのほうを毎日使っています。
pCloudに置いているのは、仕事の原稿やスクリーンショット、請求書、写真です。
pCloudは2022年11月12日に無料アカウントを作り、1週間試してから、11月19日のブラックフライデーセールで買いました。
2TBのライフタイムプランで279ドル、当時のレートで約39,000円です。
ストレージを選ぶときの私の優先順位は、長く使ったときの費用、操作感、容量、セキュリティの順です。
原稿も請求書も写真も、pCloudの通常のフォルダに置いています。
買うときは画像や動画が増えると思って2TBにしましたが、使っている容量は今も約90GBです。
仕事の書類を置いていても、Encryptionが要ると感じる場面はありませんでした。
パスワードのほうは、2023年6月19日にpCloud Passのライフタイムを149ドルで買いました。
今は毎日使っていて、Googleのパスワード保存はほぼ使わないようにしています。
私の使い方では、毎日の守りを担っているのはEncryptionではなくPassのほうです。
パスワード管理ツールの選び方は、パスワード管理の決定版で比べています。
pCloud Encryptionのデメリットと制限
Encryptionの弱点は、守りが固いぶん、自分で失くしたものを誰も取り戻してくれないことです。
買う前に、次の3つは知っておいてください。
Crypto Passを忘れると誰にも戻せない
Encryptionを使うときは、Crypto Pass(暗号化フォルダ専用のパスワード)を決めます。
pCloudはこのパスワードを持っていないので、忘れると暗号化したファイルは誰にも戻せません。
問い合わせても、中身は返ってきません。
Crypto Passを作り直すことはできますが、そのとき暗号化したファイルは消えます。
ログイン用のパスワードとは別のものなので、2つ目のパスワードを確実に保管できるかを先に考えてください。
暗号化したままの共有はBusiness向けの機能
暗号化したフォルダを人と共有する機能は、pCloudの公式ブログでBusiness向けの機能として紹介されています。
個人プランで暗号化したまま共有する方法は、公式の案内に見当たりません(2026年10月時点)。
家族や取引先とファイルをやり取りする人は、共有するものだけを通常のフォルダに分けて置くことになります。
スマホでオフライン保存できず一部の接続方法でも開けない
暗号化したファイルは、スマホのアプリでオフライン保存ができません。
WebDAVやSFTPなど、外部のツールからつなぐ方法でも開けません。
pCloud DriveのUploads機能で、暗号化フォルダに直接入れることもできません。
外出先でスマホから開くことが多いファイルは、Cryptoフォルダに入れると不便になります。
2024年にETHチューリッヒが指摘した弱点とpCloudの回答
pCloud Encryptionには、2024年に大学の研究者が指摘した弱点があります。
ただし前提はサーバーそのものが悪意を持った場合で、普段の使い方ですぐに中身が読まれるという話ではありません。
2024年10月、スイスのチューリッヒ工科大学(ETHチューリッヒ)の研究者が、端末側で暗号化するクラウドストレージ5社に弱点があると発表しました。
pCloud Encryptionも、その5社に入っています。
論文は、同じ年の国際セキュリティ学会ACM CCSで発表されました。(論文)
悪意のあるサーバーには、攻撃者に乗っ取られた場合と、運営会社自身の場合の両方が含まれます。
pCloudについて指摘されたのは6件で、大きく分けると次の3つです。(研究チームのまとめ)
- 鍵の差し替え:サーバーが知っている鍵で、ファイル名などを暗号化させられる
- 書き換えと削除:鍵やファイルの一部を、気づかれずに書き換えたり削除したりできる
- ファイルの注入:自分が置いていないファイルやフォルダを、置いたように見せられる
研究者は2024年4月23日にpCloudへ知らせましたが、発表直前の10月10日の時点で返事はなかったと書いています。
発表の後、pCloudは報道機関の取材に、指摘は理論上の攻撃シナリオで、実際のファイルの安全性は損なわれないと答えました。
報告には不正確な点がある、とも述べています。(BleepingComputer、2024年10月20日)
pCloudの公式サイトで、この指摘を直したという告知は見つかりませんでした(2026年10月時点)。
本当に重要なファイルはパソコン側で暗号化してから入れる
運営会社まで信じきれないファイルは、pCloudに入れる前に自分のパソコンで暗号化する方法があります。
代表的なのが、無料で使える暗号化ツールのCryptomatorです。
Cryptomatorで暗号化したファイルをpCloudに置けば、pCloud側の仕組みに頼らずに済みます。
私はCryptomatorを使ったことがないので、使い勝手の比較はできません。
pCloud Encryptionを選ぶ理由が残る人
それでもEncryptionには、pCloudのアプリに最初から組み込まれているという強みがあります。
別のツールを入れず、フォルダに入れるだけで暗号化したい人には、手間の少ない選択肢です。
運営会社のサーバーまで疑う必要がある人は、Cryptomatorのような方法と組み合わせて考えてください。
pCloud Encryptionの料金とセールの買い時
pCloud Encryptionのライフタイムは$150で、年額の約3年分です。
3年を超えて使うつもりなら、買い切りのほうが安くなります。
料金は次のとおりです(2026年10月17日、公式ページで確認)。
| 支払い方 | 価格 | 年額$49.99と比べると |
|---|---|---|
| 月額 | $4.99 | 1年で$59.88 |
| 年額 | $49.99 | ― |
| ライフタイム(買い切り) | $150 | 約3年分 |
購入後14日以内なら、返金保証があります。
pCloudの料金とプランは、pCloud公式サイトで確かめられます。
Encryptionは、ストレージのセールで特典として付くこともあります。
2026年のお月見セール(9月21日〜10月7日)では、1TB・2TB・10TBの生涯プランすべてに、Encryptionが無料で付きました。
ストレージをまだ持っていない人は、単体で買う前に、ストレージのセールの内容を見てから決める手があります。
11月のブラックフライデーセールで付くかどうかは、まだ発表されていません。
セールの時期と過去の価格は、pCloudのセールはいつ?でまとめています。
pCloud Encryptionのよくある質問
標準のpCloudとEncryptionは何が違いますか?
暗号化する場所と、鍵を持つ人が違います。
標準のpCloudはサーバー側で暗号化し、Encryptionは自分の端末で暗号化して鍵を自分だけが持ちます。
pCloudは、Encryptionのファイルには「pCloudでもアクセスできない」と案内しています。
EncryptionなしでpCloudを使っても大丈夫ですか?
写真や普段の書類なら、標準の暗号化で足ります。
Encryptionが足すのは、pCloudでも中身を見られないという約束で、見られて困らないファイルには要らないためです。
私は2022年11月からEncryptionなしで使っていて、仕事の書類も通常のフォルダに置いています。
パスワードはpCloud Passで管理しています。
Crypto Passを忘れたらどうなりますか?
暗号化したファイルは戻せません。
pCloudはCrypto Passを持っていないためです。
Crypto Passを作り直すと、暗号化したファイルは消えます。
ライフタイムと年額はどちらがよいですか?
3年を超えて使うなら、ライフタイムのほうが安くなります。
年額$49.99に対して、ライフタイムの$150は約3年分です。
写真もCryptoフォルダに入れるべきですか?
写真や動画が中心なら、入れなくて大丈夫です。
暗号化したファイルは、スマホでオフライン保存できないなどの制限があります。
身分証の写しのように、見られたら困る画像だけを入れる使い方が向いています。
pCloud PassとpCloud Encryptionの違いは何ですか?
Passはパスワードを、Encryptionはファイルの中身を守ります。
pCloud Passはパスワードを保存して自動で入力するツールで、Encryptionはファイルを自分だけの鍵で暗号化するオプションです。
pCloud Encryptionを足す前に決めること
pCloud Encryptionが必要かどうかは、身分証の写しや契約書のように、見られたら困るファイルを預けるかどうかで決まります。
写真や普段の書類なら、標準のpCloudで足ります。
私も約4年、Encryptionなしで仕事の書類を置いてきました。
漏洩の入口はパスワードと端末の側にもあるので、先にパスワード管理と2段階認証を整えてください。
それでも守りたいファイルが残ったときが、Encryptionを考える順番です。
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