案件管理アプリを一通り探したうえで、私が今使っているのはExcelです。
フリーランス在宅ワーク歴9年、現在は3社の継続案件を抱えていますが、会計ソフトも専用の案件管理アプリも入れていません。多機能なアプリを足しても、納期と請求が別々の場所に散らばったままなら意味がなかったからです。
ただしこれは、取引先が増えれば成立しなくなる形でもあります。どこまでExcelで足りて、どこから専用アプリが要るのか。実際にシートを消してしまった失敗も含めて、その線引きを書きます。
この記事の結論
案件管理に必要なのはアプリの多機能さではなく、案件・納期・請求の3つが1か所で追えることです。
- 取引先が数社なら、専用アプリを入れるより1シート1案件のExcelのほうが早い場合があります
- 専用アプリが必要になる分かれ目は、取引先の数・チームの有無・請求の複雑さの3つです
- タスク管理アプリが扱うのは今日やることで、案件・納期・請求の横断までは受け持ちません
案件管理アプリとタスク管理アプリの違い
案件管理アプリが扱うのは、1つの案件にひもづくタスクと納期と請求をまとめて追うことです。今日やることを並べるタスク管理アプリとは、管理する単位が違います。
この違いを飛ばしてアプリを比較すると、多機能なタスク管理アプリを入れて思っていたものと違った、で終わります。私が最初にやったのがこれでした。
タスク管理の単位は1タスクです。今日と明日のやることを並べ、終わったら消していく。単位が細かいぶん、その日の行動は動かしやすくなります。
案件管理の単位は1案件です。取引先から受けた案件の下に構成案・執筆・修正がぶら下がり、納期があり、月末に請求が発生します。タスクが全部終わっていても、請求を出していなければその案件は終わっていません。
| 比較の軸 | タスク管理 | 案件管理 |
|---|---|---|
| 管理の単位 | 1タスク(今日やること) | 1案件(取引先ごとの仕事のまとまり) |
| 主に見る期間 | 今日〜今週 | 着手から入金まで(1〜3か月) |
| 扱う情報 | やること・期限・優先度 | 進捗・納期・請求・入金・取引先ごとの注意事項 |
| 取りこぼす場所 | 着手忘れ、期限切れ | 請求漏れ、入金の未確認、納期の重なり |
| 必要になる人 | 全員 | 複数の取引先から継続して受けている人 |
分かれ目は表の最終行です。取引先が1社なら案件イコール仕事の全体なので、タスクを並べれば足ります。2社、3社と増えると、A社とB社の納期が同じ週に来ていないか、先月納品したC社の請求は出したかを横断で見る必要が出てきます。この視点はタスクリストからは出てきません。
この記事で扱うのは、案件・納期・請求をどこで一括して持つかという一点です。アプリそのものの比較は進捗管理アプリの選び方をまとめた記事、記録して可視化する運用は仕事の進捗を可視化する方法で扱っています。
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私が案件管理でつまずいたところ
私が案件管理で失敗したのは、アプリ選びではなく、案件・納期・請求を1か所にまとめていなかったことでした。会計ソフトを解約してExcelに戻した今のほうが、取りこぼしは減っています。
ここは私の実際の運用と失敗の話です。同じ規模で仕事をしている方には、そのまま当てはまる部分があると思います。
会計ソフトを解約してExcelに戻した理由
会計ソフトをやめた直接の理由は費用です。3年ほど前、契約更新のタイミングで見直したときに、自分の取引先の数に対して払っている金額が見合っていないと判断しました。
そのときに気づいたのが、ソフトを入れていても請求書の管理は結局自分でやっていたという事実です。請求のタイミングを管理していたのはソフトではなく私でした。確定申告の集計にしても、ソフトを入れたから楽になったという実感はなく、毎年それなりに苦労していました。
固定費を払って自動化されたつもりでいたけれど、実際に自動化されていたのは仕訳の一部だけだった。この見え方の差が、解約の判断につながりました。
1シート1案件・1行1プロジェクトという形
現在は、Excelで1シートを1案件に割り当て、そのシートの1行が1プロジェクトになる形で管理しています。取引先ごとに案件のシートがあり、その中に個別のプロジェクトが縦に積み上がっていくイメージです。
1行に持たせているのは次の情報です。
- プロジェクト名
- 納期
- 進捗
- 入金の状況
- 補足(先方の指定や注意事項)
更新のタイミングは2つに分けています。シート自体は月ごとに更新し、進捗の欄はタスクが動いたときにその都度入力する。この2段構えにしてから、月末に何をどこまでやったか思い出せない状態がなくなりました。
補足の欄が地味に効いています。取引先ごとの細かい指定は、案件が動いている間は覚えていても、次の依頼が来る頃には忘れています。その置き場所が案件シートの中にあるかどうかで、確認のやり直しが減りました。
実際にやらかした2つの失敗
Excelでの管理は万能ではありません。私が実際にやったのは、シートを丸ごと削除してしまったことと、祝日を数えずに納期を組んでしまったことの2つです。
シートの削除は、Excelの構造上どうしても起こります。タブを右クリックして削除を選ぶだけで、その案件の履歴が一度に消えます。私はこれをやってしまい、案件シートを1つ失いました。専用アプリならまず起きない事故で、ここはExcelの明確な弱点です。
もう1つの祝日は、もっと厄介でした。納期までの日数を頭の中で数えるときに、平日が続く前提で計算してしまい、実際には連休が挟まって作業できる日が想定より少なかった。Excelの日付欄は日数を数えてくれても、その日が働ける日かどうかまでは教えてくれません。
このときは間に合わせましたが、余裕がないまま進める数日は、品質にも精神状態にも良くありませんでした。以降、納期を入れる時点でカレンダーを開いて、実際に手を動かせる日を数えるようにしています。
戻ってみて予想と違ったこと
Excelに戻って一番意外だったのは、以前は負担に感じていた作業が、AIを併用することでかなり楽になっていたことです。
会計ソフトを使っていた頃に面倒だったのは、集計や整理といった手を動かすだけの作業でした。今はその部分をAIに投げられます。数字の並べ替えや形式の整理を頼めるので、私が判断すべき部分だけが手元に残る。同じExcelでも、数年前と今とでは実際の負担がまったく違います。
つまり、専用ソフトが要らなくなったというより、専用ソフトが引き受けていた面倒の一部を別の手段で処理できるようになった、というのが正確なところです。この変化がなければ、私はまだ会計ソフトを使っていたと思います。
3年ほど前、会計ソフトを費用面から解約し、取引先3社の案件管理をExcelに戻しました。1シート1案件、1行1プロジェクトで、納期・進捗・入金・補足を持たせています。その後、案件シートを1つ誤って削除し、祝日を数え忘れて納期を詰めるという失敗もしました。
当時の自分に言うとしたら、会計ソフトを入れても請求書は結局自分で管理することになる、という一点です。ソフトが管理してくれると思っていた部分は、実際にはほとんど自分の頭の中にありました。その前提で見れば、必要なのは高機能なアプリではなく、案件・納期・請求が同じ場所にある状態そのものでした。
案件管理で最低限そろえる3つの情報
案件管理に必要な情報は、案件とタスクの対応・納期・請求の3つです。この3つが同じ場所にあれば、道具がExcelでも専用アプリでも管理は成立します。
逆に、どれか1つが別の場所にあると取りこぼしが起きます。私が請求を落としかけたのも、請求だけが案件シートの外にあった時期でした。
案件と担当タスクの対応
案件は、着手前にタスクへ割っておきます。案件名だけを書いた行は進捗を入れられないので、月末まで着手中のまま止まります。
私の場合は構成案・執筆・修正の3段階で、進捗欄にはこの段階名を入れています。細かく割るほど正確にはなりますが、更新の手間も比例して増えます。3〜5段階が、続けられる範囲の上限だと感じています。
どこまで割るかの判断はタスク細分化の効く仕事と効かない仕事で扱っているので、割り方で迷う場合はそちらを参考にしてください。
納期と、見積もりのズレ
納期は日付だけでなく、そこまでに手を動かせる日数で持ちます。祝日を数え忘れて納期を詰めた失敗が、私の場合はここから来ました。
もう1つのズレは、作業時間そのものの見積もりです。私はAI関連の情報リサーチを10分程度だと思っていましたが、実際に計測すると1回22分かかっていました。体感の倍です。
1案件あたり数十分のズレでも、3社分が同じ週に重なれば半日の差になります。納期を決める時点で、体感より少し多めに見積もっておくほうが安全です。作業が期限いっぱいまで膨らむ理由はパーキンソンの法則の記事で詳しく書いています。
請求と入金
請求は、案件シートの中に入金欄として持ちます。納品と請求と入金は別のできごとなので、納品済みのチェックだけでは請求の状態がわかりません。
私の入金欄は、請求書を出したか、入金を確認したかの2点だけです。金額の集計は年に一度の確定申告でしか使わないので、日々の管理には入れていません。
会計ソフトを使っていた頃も、請求のタイミングを判断していたのは私でした。ソフトが肩代わりしてくれるのは仕訳と帳票であって、いつ誰に請求するかは自分の管理下に残ります。取引先が数社なら、この2列で足ります。
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案件管理アプリの選択肢と、私の使い分け
私が今使っているのは、案件の管理表がExcel、案件ごとのメモがAmplenoteの2つだけです。案件・納期・請求はExcelに集約し、思考や下書きが必要なものだけを外に出しています。
ここでは実際に使ったツールと、使っていないツールを分けて書きます。使用歴のないものについては仕様だけを示し、使用感には触れません。
使用中の2つ
Excelは案件管理の本体です。1シート1案件、1行1プロジェクトで、納期・進捗・入金・補足を持たせています。シートの誤削除という弱点はありますが、月次のコピーを残しておけば実害は限定されます。
Amplenoteは案件ごとのメモを置く場所として使っています。取引先とのやり取りで出た指定、書きかけの構成案、判断の経緯といった、表の1セルに収まらないものの置き場です。私は2年以上使っていて、月額は5ドル台です。
管理表とメモを分けているのは、性質が違うからです。表は一覧性が要り、メモは検索性が要る。1つのツールで両方をやろうとしたのがNotionでの失敗でした。
Amplenoteの詳しい使用感は数年使い続けているノートアプリの使い勝手と料金にまとめています。メモとタスクを1つに統合したい方は、Amplenoteの公式サイトから無料プランを試せます。
過去に使っていたもの
Todoistは1年ほど使い、月100記事の管理に使っていました。案件管理の観点で言えば、プロジェクト機能で取引先ごとに分けられるので、タスクの束としては管理できます。
ただし納期の管理まではできても、請求と入金は入りません。タスク管理アプリとしての完成度は高い一方で、案件管理に使うなら請求を別に持つ前提になります。詳しくはTodoistで月100記事を管理した記録で書いています。
Notionは前章のとおり、案件管理を目的に本格的に使ったうえで戻しました。案件数が多くテンプレート化が効く人には向きますが、数社の管理には設計コストが見合いません。
使っていないので推奨しないもの
以下は私が案件管理で使っていないツールです。仕様として選択肢に入ることは事実なので、事実だけを書きます。使用感を書けないものを推奨することはしません。
| ツール | 無料プランの範囲 | 案件管理での位置づけ |
|---|---|---|
| Asana | 10人まで利用可能 | チーム運用が前提。個人利用は機能が余る |
| TickTick | プロジェクト9件・タスク99件まで | カレンダー一体型。案件数が少なければ無料枠内で収まる |
| Trello | ボード10枚まで | 案件をボード単位で分ける形。請求の管理欄は自分で作る |
いずれも案件管理の専用ツールではなく、プロジェクト管理やタスク管理のツールです。案件管理に使う場合、請求と入金の欄は自分で設計することになります。その設計をするなら、Excelで持つのと手間は大きく変わりません。
案件管理アプリに関するよくある質問
案件管理アプリを検討する段階でよく出てくる疑問に、私の運用と本記事の判断基準から答えます。必要な項目だけ拾って読んでください。
案件管理アプリとタスク管理アプリは何が違う?
管理する単位が違います。タスク管理は今日やること1件を扱い、案件管理はクライアント1案件を納期と請求までひとつながりで追います。
記事を1本納品する場合でも、構成案・執筆・修正・請求・入金確認と工程は分かれます。タスク管理アプリはこれらを個別のチェック項目として並べられますが、どの案件に属するかまでは持ちません。分解に強いのがタスク管理、集約が必要なのが案件管理です。
取引先が数社なら専用の案件管理アプリは要らない?
案件・納期・請求が1か所で追えているなら要りません。私は取引先3社の継続案件を、専用アプリなしでExcelの案件シートだけで管理しています。
判断の分かれ目は案件の数ではなく、情報が分散しているかどうかです。納期はカレンダー、請求はメール、進捗はアプリと散らばっているなら、アプリを足すより1か所に寄せるほうが先です。
Excelで案件管理するときに最低限そろえる項目は?
プロジェクト名・納期・進捗・入金・補足の5つで足ります。私が1シート1案件、1行1プロジェクトで持たせているのもこの5項目です。
補足欄が効きます。取引先ごとの指定は案件が動いている間は覚えていても、次の依頼が来る頃には忘れています。金額の集計は確定申告でしか使わないので、日々の管理には入れていません。
Notionは案件管理に向いている?
機能としては向いていますが、一人で使うには準備の負担が大きくなります。私は案件シートの管理と案件ごとの詳細管理をNotionに移そうとして、本格的に使ったうえでExcelに戻しました。
理由は2つで、アプリそのものが重くスプレッドシートより動作が遅かったこと、プロジェクトを始めるたびに土台として入力する情報が多かったことです。案件数が多くテンプレート化が効く人ほど向いていると考えています。
チームで案件を進める場合はどうする?
チームなら専用ツールの価値がはっきり出ます。私は個人ではWrikeを使っていませんが、参加していたプロジェクトで半年ほど使い、誰がどこで止まっているかが聞かなくてもわかる状態になりました。
このタイプのツールの強みは進捗の見える化と共有なので、見せる相手がいて初めて機能します。外注や下請けに出していて自分以外が納期を持つ場合も、検討する段階です。
案件管理を無料で始めるには何を使えばよい?
すでに使っている表計算ソフトで始めるのが最短です。ExcelやGoogleスプレッドシートなら追加費用がかからず、案件シートに納期と進捗と入金を並べるだけで形になります。
無料プランのある専用アプリから入る方法もありますが、上限に達したときの移行と、やめたときにデータが手元に残るかを先に確認してください。案件の履歴と請求のやり取りは、事業を続ける限り参照します。
案件管理で先に決めること
案件管理でまず決めるのは、アプリの機能ではなく、案件・納期・請求を1か所に置くことです。私は取引先3社の継続案件を、会計ソフトも専用アプリも使わず、1シート1案件のExcelで管理しています。専用アプリが必要になるのは、取引先が増えたときより先に、共有する相手ができたときです。会計ソフトを解約してわかったのは、請求のタイミングを管理していたのはソフトではなく自分だったということでした。アプリを増やす前に、その3つが同じ場所にあるかを確認してみてください。
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